記事登録
2007年06月07日(木) 08時01分

コムスン 悪評だらけ、でも頼みの綱産経新聞

 ■「高いサービスふっかける」 重度、深夜…「介護どうなる」

 「ヘルパーが未熟で、サービスが荒っぽい」「高いサービスをふっかけられる」。6日、不正な指定申請にからみ、厚生労働省から介護事業所の指定打ち切りを通知され、親会社が全事業の別の子会社への譲渡を決めた業界最大手「コムスン」(東京)には現場や業界に根強い批判があった。コムスン側の巧みな“処分逃れ”に行政側は後手に回ってきた。一方で、同社に頼るお年寄りらは6万5000人に上る。突然の指導と事業譲渡に、利用者らに動揺と戸惑いが広がっている。

 「コムスンは金もうけ主義。相手が費用を払えそうだと見ると、余計にサービスをつけたり、高いサービスをふっかけたりしていた」と、同社介護サービス事業所の登録ヘルパー(39)は明かす。

 費用の安いサービス方法があっても、単価の高いサービスを提供したり、1人に対するサービスを、費用がかさむよう複数へのサービスであるかのように書類を作ったりするケースもあったという。

 東京都に住む利用者(78)は、サービスを架空請求された経験がある。短期入所(ショートステイ)で介護施設に滞在していたにもかかわらず、書類では、その間に自宅で訪問サービスを受けたことになっていた。妻(74)は「気をつけないと、使っていないようなサービスまで書類に書いてくるから、チェックしています」と、憤懣(ふんまん)やるかたない様子だ。

 コムスンを評価する声もある。手のかかる重度の要介護者は、事業所から敬遠されがち。しかし、コムスンには「どんな利用者でも、収入につながる。サービス提供は断らない」(同社ヘルパー)という風潮があったという。

 深夜や早朝に対応する巡回サービスは、コムスンや一部の事業所しか提供していないのも事実だ。このため、重度の利用者らを受け持つケアマネジャーの間では、サービスの質や手法に問題があっても、最後はコムスンに頼るしかないというムードもあったようだ。

 夫婦とも要介護認定を受けている兵庫県の女性(75)は自宅近くにコムスンの訪問介護事業所がある。「いざというときのために早朝のサービスを利用してみたが、近所の評判が悪いので1回でやめた」という。それでも、夜間や早朝の訪問介護を行う事業所は地域にコムスンだけで、利用する家庭も少なくない。この女性は「ただでさえヘルパーのなり手が少ないのに、この先、介護を受けられない人がたくさん出るのではないか」と不安を漏らす。

 非常勤も含めて2万4000人に上るコムスンの従業員も不安を隠さない。ある女性ヘルパーは「これから転職するにも『コムスンにいた』とは言いにくい。家族を背負った男性社員もいる。彼らがどうなるのか心配です」と話していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070607-00000017-san-soci