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2007年06月06日(水) 03時05分

タクシー券、中国で偽造…組員2人を密輸容疑で逮捕読売新聞

 昨年8月から東京都内で7000枚以上の偽造タクシー券が出回る事件があり、指定暴力団住吉会系の組員らが中国から航空便の小包で密輸していた疑いが強まったとして、警視庁は5日、組員ら2人を偽造有価証券輸入の疑いで再逮捕した。

 換金・使用された分も含め約1万1000枚(総額約480万円相当)の偽造券が押収されており、組員らは「中国に行けば安値で偽造できると聞いた」などと供述している。いずれも本物とほぼ同様の精巧な作りで、警視庁は、偽造・模造の技術が進む中国に、暴力団が目をつけた新たな手口とみて偽造拠点の割り出しなどを急いでいる。

 逮捕されたのは、住吉会小林会系組員の伴光春被告(57)(偽造有価証券行使罪で起訴)と、同じ暴力団に所属していた元組員の会沢敏夫被告(55)(偽造有価証券輸入罪で起訴)。タクシー券や商品券などの偽造事件で海外からの密輸が判明するのは異例だが、警視庁では、国際問題化している中国製の模造品同様、今後も同種の手口が広がる可能性があるとみて警戒している。

 同庁組織犯罪対策1課の調べによると、伴被告らは昨年8月、都内のタクシー会社で作る社団法人「東京乗用旅客自動車協会」の額面100円と500円の偽造タクシー券数千枚を小包の中に隠し、中国から航空便で持ち込んだ疑い。

 伴被告らは8月中に再度、数千枚の偽造券を空輸しており、2回の密輸分の大半の7000枚余り(約260万円相当)は、9月までの間、数回にわたって千代田区内の金券ショップで換金された。

 その後、都内では今年3月までに、同種とみられる偽造券約1100枚(約45万円相当)が実際にタクシーの支払いに使われており、同協会は昨年10月以降、タクシーの乗務員らにチラシを配って注意を呼びかけてきた。

 2人の存在が明らかになったのは昨年11月、東京税関が成田空港に届いた小包から約4500枚もの不審なタクシー券を発見したのがきっかけ。 

 鑑定の結果、偽造券と分かり、同課は今年4月、小包の受取人になっていた会沢被告を逮捕する一方、金券ショップで換金した男3人を逮捕したところ、供述などから、伴被告が換金の指示役として浮上した。

 会沢被告は偽造券の受け取り役として、伴被告に大量の偽造券を渡しており、昨年7月には中国に入国したことも確認されている。調べに対し、「これまでに数回輸入した」などと供述しているという。

 偽造券は紙質が本物よりざらついているが、光の角度を変えると色や模様が立体的に見える「ホログラム加工」が施されている。短期間で大量に国内に持ち込まれていることから、同課は本格的な印刷機を備えた工場で偽造されたとみて調べている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070606it01.htm?from=top