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2007年06月06日(水) 16時19分

【視点】大和都市管財詐欺 消費者保護強く打ち出す産経新聞

 大和都市管財をめぐる国賠訴訟で、国に賠償を命じた6日の大阪地裁判決は、同社の登録更新を拒否しなかった近畿財務局の「権限の不行使」について過失を認定した。消費者保護の姿勢を強く打ち出し、国に対して形式的で漫然とした「事なかれ主義」の姿勢からの脱却を求めたといえる。

 国の権限不行使をめぐっては、近年、生命や健康被害に関する訴訟で国の責任を認める判決が相次ぐ一方、財産的被害の回復を求めた訴訟では、原告側敗訴が続いていた。

 前者では、一連の「トンネルじん肺訴訟」などが好例で、自ら被害を防ぐことが困難だったというやむを得ない側面がある。

 半面、「豊田商事事件」のような財産的被害の問題は、自らが注意を払うことで損害を回避できる余地があるため、行政の責任が、より慎重に検討されるからだ。

 この点、大阪地裁判決は投資の自己責任原則を前提としながらも、近畿財務局を「購入者保護の観点から慎重に検査することを怠った」と指弾。「検査対象でない関連会社の帳簿類であっても、検査の対象とすべきだ」などと権限行使のあり方について一歩踏み込んだ判断を示した。近年の消費者保護重視の流れを踏まえたものといえよう。

 大和都市管財事件以降も個人投資家を欺く事件は続出している。行政の消極姿勢は、もはや許される時代ではない。(真鍋義明)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070606-00000028-san-soci