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2007年06月06日(水) 11時27分

大阪地裁、国に6億円の支払い命じる 大和都市管財事件朝日新聞

 01年に経営破綻(はたん)した抵当証券会社「大和都市管財」(大阪市)グループによる巨額詐欺事件をめぐり、同社から抵当証券を購入した被害者721人が、国に総額約39億9000万円の損害賠償を求めた国家賠償訴訟の判決が6日、大阪地裁であった。西川知一郎裁判長は「97年12月の登録更新時、破綻する危険が切迫している事態を近畿財務局は容易に認識できたのに、漫然と更新を認めたことは著しく合理性を欠く」と判断。98年以降に抵当証券を新規で購入した260人に総額約6億7千万円を支払うよう命じた。

勝訴判決を受け、記者会見後握手する原告と弁護士たち 勝訴判決を受け、記者会見する原告団の弁護士たち 勝訴の垂れ幕を掲げる原告団弁護士=大阪市北区の大阪地裁で 入廷する大和都市管財国賠訴訟の原告たち

 原告弁護団によると、大規模な個人財産の被害について国の賠償責任を認めた判決は初めて。同様の国賠訴訟では、金の現物まがい商法の豊田商事事件(一審原告1486人、最高裁で敗訴)に次ぐ原告の多さだった。

 抵当証券の販売業者は抵当証券業規制法で国に登録し、3年ごとに更新しなければならない。監督官庁だった旧大蔵省(財務省)の近畿財務局が破綻前の97年に更新を認めたことの過失の有無が最大の争点だった。原告は97年の登録更新後に、総額70億円の抵当証券を新規または継続で購入していた。

 判決はまず、97年更新時の財務状況について検討した。97年3月期の決算書で、同社は資本欠損の状態になかったが、融資先の関連会社6社がいずれも累積債務を抱えていたことなどを指摘。更新拒否の要件である「財産的基礎の欠如」の状態にあったことは明らかとした。

 そのうえで、近畿財務局は、関連会社は大和都市管財と実質的に一体だった▽グループ全体の債務が96年時点で100億円を超えていた——ことなどを把握し、「同社が自転車操業の状態にあることを容易に認識できた。漫然と更新登録をしたというほかない」と結論づけた。

 一方で、高利率の抵当証券購入のリスクも言及。原告の被害のうち、6割分は過失相殺して認めなかった。

 訴訟では、96〜97年の旧大蔵省銀行局の担当課長補佐が原告側証人として出廷。近畿財務局が95年、同社に業務改善命令を出そうとしたが、社長から威迫されたため命令を撤回したとする内部文書を作成したと異例の証言をしていた。

 〈大和都市管財事件〉 大和都市管財事件 融資先の不動産の抵当権を証券化して分割販売する抵当証券を85年から発行。被害は50歳以上(当時)を中心に1万7000人、総額1112億円にのぼった。詐欺罪に問われた元社長(70)は昨年9月、懲役12年の実刑が最高裁で確定している。

http://www.asahi.com/national/update/0606/TKY200706060053.html