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2007年06月06日(水) 12時59分

大型詐欺で国家賠償認定、歴史的判決と弁護団読売新聞

 「会社破たんの危険は容易に認識できた」。破たんした抵当証券会社「大和都市管財」グループによる巨額詐欺事件を巡る国家賠償請求訴訟で、6日の大阪地裁判決は、監督権限を尽くすことなく同社の業務登録を更新した近畿財務局の責任を指弾した。

 判決後、記者会見した弁護団の犀川千代子弁護士は「裁判所は近畿財務局の職務怠慢を見事なまでに認定した。大型詐欺事件で国家賠償が認められた初めての判決で、歴史的、画期的」とする声明を読み上げた。

 大阪原告団世話人代表の石黒杉雄さん(88)は「いい判決が出て感無量。みなさんが喜ぶ顔を見て、天にも昇る気持ちになった」と喜びをかみしめるように語った。

 一方、原告の一人、大阪府高槻市の石坪恒郎さん(73)の請求は、認められなかった。「2年満期で利率3・5%」。他の金融機関の商品を上回る高利にひかれ、1999年、2000万円で抵当証券を購入した。

 満期を11日後に控えた2001年4月16日、同社の破たんが報じられた。利息どころか元本も消滅したと、被害者集会で知った。

 利息を老後の生活資金に充てようと、夫婦で切り盛りしていた洋食店を手放して得た資金を運用し、夫婦で旅行をするのを楽しみにしていた。事件で、そんなお金も、気持ちの余裕もなくなった。

 裁判で取り戻したいのは資金だけではなかった。「欲を出した自分の責任だ」と、言われた原告仲間は多く、石坪さんも、そんな冷たい視線を感じてきた。「名誉だけでも返してもらわんことには」。その願いは聞き入れられた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070606it03.htm