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2007年06月06日(水) 23時35分

コムスンの全事業「グループ子会社へ」 処分骨抜きに朝日新聞

 訪問介護最大手のコムスン(東京都港区)が今後4年半、すべての事業所の新規指定や更新が認められなくなった問題で、親会社のグッドウィル・グループ(GWG)は6日、コムスンの事業を同グループ連結子会社の日本シルバーサービス(東京都目黒区)に譲渡する方針を決めたと発表した。厚生労働省は法的には問題ないとしている。事業がそのまま譲渡されれば、約6万5000人へのサービスは継続されることになるが、同省による処分が骨抜きになることになり、意義が問われそうだ。

 日本シルバーサービスは、有料老人ホームなどを展開するGWGの一員。もとはコムスンの子会社だった。それが今年5月、GWGで人材派遣業を担う「グッドウィル・プレミア」(旧クリスタル)の子会社プレミア・メディカルケアのグループ会社となった。ただ最終的な親会社はGWGで、株主企業がグループ内で変わるだけとなる。

 GWG広報IR部は「グループ内での事業譲渡でも法人は変わるので、今回の処分の対象にはならないと考える。利用者へのサービス継続のため決断した。厚生労働省の理解も得ており、問題はないはずだ」としている。

 これに対し、同省老健局の古都賢一振興課長は「コムスン側から連絡はない」としたうえで、「譲渡先がグループ会社であっても法的には問題ない。譲渡先が新規指定の申請をすれば、都道府県が審査することになるが、コムスンの役員が入るなどしなければ欠格事由とはならない」と、事実上容認する姿勢を示した。連結子会社など資本のつながりは法令上、欠格事由の判断材料とはならず、利用者保護の観点から新規申請した法人がサービスをきちんと提供できるかどうかを点検するという。

 同省は06年4月施行の改正介護保険法でサービス業者の指定に更新制を導入。急増する業者数に対応するため、監査体制も強化した。同省は「従来は介護サービスの量の確保に重点を置いていたが、今後はサービスの質を上げなくてはならない。事業者全体の構造改革も必要」としている。

 6日の東京株式市場では親会社のGWG株に売りが殺到。株価は値幅制限の下限(ストップ安)となる前日比1万円安の7万1800円まで下げた。

http://www.asahi.com/life/update/0606/TKY200706060405.html