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2007年06月05日(火) 15時33分

枚方談合 大林組に受注工作提案 逮捕の大阪府議、金策困り産経新聞

 大阪府枚方市発注の清掃工場建設工事をめぐる官製談合事件で、元枚方市議で府議の初田豊三郎容疑者(49)=競売入札妨害(談合)容疑で逮捕=が入札前、大林組側に「市側に働きかけてあげる」などと自ら受注工作を持ちかけていたことが5日、わかった。初田容疑者が当時、金に困っていたことも判明。初田容疑者は、受注した大林組側に一時、億単位の謝礼を要求しており、大阪地検特捜部は、親密な関係だった中司宏市長(51)の威光を武器に利得を図ろうとしたとみて追及している。

 特捜部は、中司市長の関与がなければ談合は成立しなかったと判断。官製談合の全容解明に向け、中司市長に対する強制捜査に乗り出す方針を固めている。

 関係者によると、初田容疑者は平成10年ごろ、中司市長から、府警捜査2課警部補、平原幸史郎容疑者(47)=同=を紹介された。さらに今回の清掃工場建設工事の入札前年の16年ごろ、平原容疑者から「会わせたい人がいる」と、大林組顧問の森井繁夫容疑者(63)=同=を紹介され、ゼネコン人脈のコネを得たとされる。

 その後、森井容疑者の訪問を受けるようになった初田容疑者が「工事を受注できるように市側に働きかけてあげる」などと自ら提案したという。

 初田容疑者は当時、市発注工事について協議する市議会建設常任委員会に所属。議員控室に市の担当部長らを頻繁に呼び出し、話し込む場面が複数の市議らに目撃されている。

 入札では大林組と浅沼組の共同企業体(JV)が予定価格の98・4%にあたる55億6000万円で落札した。

 一方、初田容疑者が実質的に経営する建設会社が14年5月に多額の負債を抱えて破産。自宅の土地建物が一時、枚方税務署に差し押さえられたこともあったという。

 初田容疑者は大林組の工事受注後、大林組に受注額の2%(約1億1000万円)の謝礼を要求したが、大林組から依頼を受けた土木建築会社「羽衣組」社長と交渉する中で3000万円で折り合ったとみられている。

 特捜部はこうした経緯に着目。初田容疑者が水面下で進めた受注工作の解明とともに、3000万円が市側の人物に流れた疑いもあるとみて贈収賄容疑を視野に捜査している。

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 大阪地検特捜部は5日、競売入札妨害容疑で兵庫県西宮市の「羽衣組」を捜索した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070605-00000029-san-soci