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2007年06月03日(日) 03時11分

「エレベーターの手引き」、国交省が作成中朝日新聞

 東京都港区の公共住宅で高校生が挟まれて亡くなるなど、エレベーターの事故やトラブルが相次いでいることから、国土交通省は今年度、ビルオーナーやマンションの管理組合向けに「エレベーターの維持管理の手引」を作る。関係法令の解説や保守管理業者選びの注意点を示すことを通じて、業者任せになりがちなビルオーナーらに自覚を促し、顧客の立場から業者へのチェックを強めてもらうのがねらいだ。

 「手引」は、昨年6月3日に起きた死亡事故を受けた再発防止策の一環。外郭団体「日本建築設備・昇降機センター」に要請して作成している。ビルオーナーや管理組合の団体を通じて配ったり、インターネットで公開したりする方針。

 内容は、理論編「保守管理の基礎知識」と実践編「保守管理の進め方」の2部構成とする。「基礎知識」では、機械設備としての特性を説明するとともに、所有者、メーカー、保守管理業者の3者の法律上の責任関係と、それぞれが果たすべき役割を示す。

 「進め方」では、所有者がメーカーから聞くべき情報や、保守管理業者に丸投げする「フルメンテナンス契約」の問題点、業者の選び方のポイントを示す。

 業者選びのポイントは特に重視。料金の安さだけで決めず、経営状態や技術者の数、教育訓練体制など、チェックしておくべき項目を示す。

 建築基準法にエレベーターの保守管理業の規定はなく、営業許可は不要。東京・六本木ヒルズの森タワーでワイヤ破断が起きるなど、ずさんな保守管理が問題となっているが、国交省は業者数を把握しておらず、処分権限もない。

 一方、ビルオーナーや管理組合は法律上、自治体への定期検査の報告など、さまざまな義務と責任を負う。だが、多くは業者に丸投げし、当事者の自覚が薄いのが実情だ。

http://www.asahi.com/national/update/0602/TKY200706020248.html