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2007年06月01日(金) 00時00分

縁(えん)読売新聞

 就職試験やお見合いの結果、「ご縁がなかったことに…」と言われてしまった経験がもしやありませんか?

 「採用できません」「あなたとは結婚したくありません」と明言するより優しい言い方かもしれませんが、やはりちょっと悲しいですね。

 「縁」は「巡り合わせ」「つながり」ということで、a turn of fate(運命のある方向への動き)、relationship、bondなどと訳します。でも上記のような場合は、It seems you aren’t meant for the job.(あなたはこの仕事に向いていないようです)、It seems we aren’t meant for each other.(私たちはお互いしっくりしないようです)といった表現で、「ご縁がなかったようです」ということになります。

 ただし、そう言われても、I have little prospect of finding a marriage partner.(私は結婚には縁遠い)とすぐに悲観的にならないでくださいね。

 ちなみに、望ましい縁に対して、「腐れ縁」はundesirable but inseparable relationship(望ましくないが断てない関係)になります。

 ほかによく使われるのは、「〜が縁で」「〜を縁に」という表現です。She happened to sit next tome in a train, and we became lifelong friends.(彼女とは列車で隣り合わせたのが縁で、生涯の友になった)。I hope this is only thefirst chance for us to worktogether.(これをご縁に、今後も仕事をご一緒したいです)。こんな言い方ができるでしょう。

 「縁」はもともと仏教に由来する言葉です。たとえば「縁なき衆生は度し難し」(仏縁のない者は仏でも救えない)ということわざは、A lost soul is beyond redemption.(心をなくした者には救済が及ばない)。転じて、人の忠告を聞こうとしない者は救いようがないという意味になります。

 「袖振り合うも多生の縁」(ちょっとしたことでも、前世からの縁によるものだ)は、Even a chance meetingis due to the fate of a previous life. Chance meetingは、偶然の出会いということです。

 人と人を結ぶ不思議な力や巡り合わせである「ご縁」を、大切にしたいものです。

(早乙女泰子記者)

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