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2007年06月01日(金) 03時06分

<二足歩行>地上でなく樹上で始まった可能性 英研究チーム毎日新聞

 ヒトの特徴的な行動の二足歩行が、地上でなく樹上で始まった可能性があることを、英バーミンガム大などの研究チームが発見した。オランウータンの行動観察から突き止めた。二足歩行の起源やヒトへの進化を考える上で注目されそうだ。1日発行の米科学誌サイエンスに発表した。
 類人猿が四足歩行で地上に降りて歩き始めた理由の一つは、気候変動で森が減少して樹上の食糧が乏しくなったためと考えられている。その後、手を地面につけて歩くナックルウオーキングに発展し、300万〜400万年前に現れたヒトの祖先が二足歩行を始めたとされる。
 研究チームは1年間、インドネシアの森に暮らす野生のオランウータンの行動を観察。断面積4平方センチ未満のたわみやすい枝の移動時には、腕でバランスを取りながら二足歩行していたのが約22%で、四足歩行の約16%を上回っていることが判明。残りは枝にぶらさがって移動していた。断面積20平方センチより太い枝では、四足歩行が移動手段の約80%を占めた。
 研究チームは「生活のほとんどを森の中で過ごすオランウータンにとっても、二足歩行は便利な方法だ」と指摘する。【田中泰義】
 ▽濱田穣・京都大准教授(霊長類形態学)の話 直立した類人猿の姿は観察されているが、二足歩行が一時的な行動ではないと示した点が評価できる。ヒトと類人猿の祖先は樹上で二足歩行を獲得した可能性が強まり、ヒトへの進化の過程の定説の見直しを求める意見が強まるのではないか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070601-00000013-mai-soci