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2007年04月29日(日) 03時01分

公営住宅の暴力団組員入居を排除、新たに16自治体が検討読売新聞

 東京都町田市の都営住宅で暴力団組員が発砲し、立てこもった事件をきっかけに、都道府県と政令市の計64自治体のうち10自治体が、公営住宅への暴力団組員の入居を制限する制度を導入する方向で検討を始めたことが、読売新聞の全国調査で分かった。

 事件前から6自治体が検討しており、合計16自治体が導入を検討中だ。「今後、検討する」など、検討課題にしている自治体も複数あり、制度導入に向けた動きが全国的に広がりそうだ。

 全国調査は、町田市の事件直後に実施し、26日正午現在でまとめた。

 64自治体のうち、広島、福岡両県と広島市では、事件前から、住宅条例に「暴力団員」の入居を制限する排除条項(規定)を盛り込むなど制度化していた。

 また、今月20日に起きた町田市の発砲・立てこもり事件を受けて、東京、神奈川、埼玉、京都、奈良などの8都府県と、名古屋、川崎両市を加えた10自治体が、導入に向けて検討を始めていることがわかった。

 このうち、事件の現場となった東京都は、石原慎太郎知事が23日の記者会見で「これはもう(制限するのが)妥当な話だ」と語り、検討を始めたことを表明した。

 岩手県や兵庫県など6自治体は町田市の事件前から導入を検討しており、検討中の自治体は合わせて16にのぼる。

 さらに、「他の先進県を参考に、今後、検討していく予定」(熊本県)など、今後の検討課題に挙げている自治体も複数あった。

 ただ、「憲法14条の平等原則の観点」(和歌山県)と憲法上の問題を懸念したり、「市が勝手に暴力団と決めて排除しても、訴えられた場合に負けてしまう」(堺市)などの見解を示し、導入に消極的な姿勢を見せている自治体も多い。

 一方、国土交通省は、町田市の事件を受けて、公営住宅のあるすべての自治体を対象に、暴力団関係者の入居制限の実施状況と、暴力団をめぐる不法行為やトラブルについて実態調査に乗り出した。

 この調査結果を踏まえて、同省は、警察庁などとも協議しながら、今後の対応を検討するという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070429it01.htm?from=top