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2007年04月28日(土) 14時42分

教材・リフォーム…悪質商法、業務停止後に新会社も読売新聞

 悪質商法に対する行政処分の動きを察知し、事業者が新たに法人を設立して実質的に処分を逃れたり、処分を受けた後も別法人で営業を継続しているとみられるケースが相次いでいる。

 ビジネス教材や住宅リフォームなどの訪問販売や電話勧誘の被害拡大を受け、国や都道府県が特定商取引法に基づく行政処分を行った件数は2006年度、過去最多の84件に達したが、関係者からは「このままではいたちごっこ」と、処分の実効性を疑問視する声も出始めている。

 経済産業省は今年3月、ビジネス法務のテキスト(約20万円)などを電話勧誘で販売していた福岡市内の業者を1年間の業務停止にした。過去の契約に関連し、新たな契約の義務があるなどと虚偽の説明をしたほか、契約書に従業員が偽名を記入したり、購入を断った顧客にしつこく勧誘を繰り返したりしたことなどが、同法違反にあたるとされた。この業者は、05年に経産省の処分を受けた事業者の代表者が出資した関連会社で、従業員の一部の派遣を受け、同じ商品を扱っていた。

 一方、小中学生用の学習教材の訪問販売で6か月の業務停止処分を受けた大阪市の3業者は、グループ化して“分業”体制を敷いていた。関係者によると、グループは5社で構成。最初の会社は1982年に設立され、01年に、営業や販売を担当する2社が新たに設立された。このうちの1社が、05年12月に1都3県から行政処分を受けたが、その2か月前、さらに別の2社を設立していた。今年3月に業務停止を受けた3業者は「うちに入会した人は全員希望する大学に行ける」「必ず80点以上とれます」などと虚偽の説明をしていたとされた。商品はいずれも同じ教材だった。

 複数の法人を設立して苦情を分散させることで、行政処分を逃れようとするケースは珍しくないという。

 経産省の産業構造審議会は現在、悪質商法の被害を防ぐため、特商法改正に向けた議論を進めている。今月26日の審議会小委員会では、委員から「罰則の引き上げが必要」との意見も出された。

 札幌地検が今年3月、違法な勧誘を繰り返したとして国の行政処分を受けた札幌市の電話勧誘販売業「テクノビジネス」の役員ら8人を起訴したが、罪名は詐欺。特商法では業務停止命令に従わなかった業者に対し、懲役2年以下または罰金300万円以下の罰則があるが、罰則が比較的低いことから、特商法違反だけで立件されるケースは少ないのが現状だ。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070428itw3.htm?from=top