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2007年04月28日(土) 15時02分

<後見人詐偽>「無報酬」の裏で高額受領 異例の一括前払い毎日新聞

 成年後見制度に絡む詐欺事件で、元行政書士の山本成男容疑者(46)が、東京都杉並区の被害女性(94)と交わした任意後見契約などの公正証書に「業務報酬なし」と記載しながら、実際は契約直前に450万円を受け取った領収書があることが分かった。親族に受け取りを認めている。報酬の支払いは、あったとしても、契約発効以降の払いが一般的で、高額の一括前払いは異例だ。【大迫麻記子、山田泰蔵】
 被害女性と山本容疑者との間で任意後見契約が交わされたのは05年5月。契約内容を記した公正証書は「報酬はないものとする」としている。
 しかし、毎日新聞が入手した山本容疑者が女性あてに出した同年4月12日付の領収書の写しには、「任意後見契約・遺言執行委託報酬」で420万円、「公証人支払手数料」として30万円の計450万円の支払いを示す記載があった。女性の弟が昨年、山本容疑者と会った際に受け取りを認めたという。
 一方、山本容疑者は05年9月、新宿区の女性(86)とも任意後見の契約を交わし、公正証書にも報酬を250万円と記した上で、契約2日後に受け取っていた。諸経費分10万円を加えた260万円を受け取ったとする領収書が女性宅にあった。昨年8月の毎日新聞の取材に、山本容疑者は受け取りを認めたうえで、「10年分なので高くはない」などと答えたが、報酬に値する行為の時期については、公正証書や領収書にも記していない。
 任意後見契約は、本人が認知症になるなど判断能力に問題が生じた時に、家庭裁判所によって後見監督人が選ばれて契約が履行されるため、報酬支払いも、この契約履行時から発生するのが普通だ。また、報酬の相場は、成年後見センター・リーガルサポートによると、月額3万円前後という。
 日本弁護士連合会の高齢者・障害者の権利に関する委員会委員長の赤沼康弘弁護士は「高額な報酬の受け取りは公序良俗に反するし、無報酬としながら金を取っているのは違法だ」などと話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070428-00000052-mai-soci