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2007年04月28日(土) 03時05分

「ネットカフェ難民」広がる 7割の店に「長期・常連」朝日新聞

 2、3年前から暮らしている、仕事が忙しすぎて帰宅できない——。インターネットカフェや漫画喫茶に寝泊まりする「ネットカフェ難民」の実態を知ろうと、各地の労働組合や民間団体が全国規模で聞き取り調査をし、27日に結果を公表した。調査した34店舗の4分の3に長期滞在者がいて、「難民」の広がりと深刻な実態が浮き彫りになった。

 調査は宮城、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、奈良、大阪、兵庫、福岡の10都府県で今月実施。ネットカフェの店員に質問したり、利用者に年齢や泊まる頻度、理由などを尋ねたりした。

 その結果、利用者84人が質問に答え、兵庫をのぞく9都府県の26店舗に「宿泊常連・長期滞在者」がいた。

 利用者からは「2年間ネットカフェ。深夜のアルバイトをしているが、仕事が不安定でアパートを借りようと思えない。夕方から働き、朝6時にネットカフェに帰る」(東京都・20代男性)、「家がない。正社員になれず、職を転々として当座のお金を稼いでいる」(愛知県・40代男性)、「3年前から夫の暴力を苦にネットカフェ暮らし。パートなどで月収9万円」(東京都・30代女性)などの声があった。

 「飲食店の正社員。家に帰ると寝る時間がなくなるので週6日はネットカフェに泊まり、日曜日だけ家に帰る」(東京都・20代男性)など、厳しい長時間労働が背景にある事例も複数あった。

 調査をまとめた首都圏青年ユニオンは「若者の貧困が予想以上に広がっており、仕事と生活の困難さの縮図になっている」と、行政や政治による対応を訴えた。

 厚生労働省も「ネットカフェ難民」に注目し、今年度中に働き方などの実態調査をする。今後の若年雇用対策につなげるため、ネットカフェで暮らす若者から直接話を聞くことも検討している。

 業界団体の日本複合カフェ協会によると、ネットカフェや漫画喫茶は05年時点で全国に約2740店。

http://www.asahi.com/life/update/0427/TKY200704270379.html