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2007年04月28日(土) 00時05分

まもなく20年、朝日新聞襲撃事件の遺族4人が「胸の内」読売新聞

 朝日新聞阪神支局襲撃事件から5月3日で20年となるのを前に、犠牲になった小尻知博記者(当時29歳)の遺族4人が27日、同社を通じてコメントを公表した。

 一人娘の美樹さん(22)は今春、大阪市内の放送局に就職し、父と同じマスコミの世界に身を置く。「たくさんの人の意見に耳を傾け、物事を考え、たくさんの人を笑顔にしていくことに力を尽くしていきたい」と、美樹さんは誓う。(以下、要旨)

 美樹さん もちろん、犯人が誰なのか知りたいです。どうしてこの事件が起こったのか、本当のことを知りたいです。でも私は単に父と話がしたい、会いたい、そういう思いの方が強いのです。私にできることは、今を精いっぱい生きていくことだと思います。

 入社後の研修が終わり、スポーツ部に配属になりました。「多くの人の声を聞き、たくさんの人の喜怒哀楽を大切にしていく」。この想(おも)いを胸に、仕事を頑張っていこうと思います。

 妻、裕子さん(47) 社会人になった娘を主人に一目見せてあげられたら、どんなに喜んでくれたでしょう。残念でなりません。感謝の気持ちを忘れず、人の痛みのわかる人間になってほしい。

 父、信克さん(79) 真相がはっきりするまでは何としても元気でありたいと思ってきましたが、20年の歳月は長すぎました。目に見えて弱るばかりです。どうしようもない焦りだけが残ります。

 母、みよ子さん(75)

 雉(きじ)一声 哀惜の念 二十年

 白れんや 研修の子の 凛々(りり)しかり

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070427i117.htm?from=main1