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2007年04月28日(土) 00時00分

NHKが「カウスNO」放送延期を発表朝日新聞

 週刊誌に暴力団幹部との交際を報じられた漫才師中田カウス(57)の出演番組について、NHKは27日、放送延期を発表した。番組は、同大阪放送局制作の娯楽番組「バラエティー生活笑百科」(土曜午後0時15分)。28日放送分から2週分、カウスが出演していた。所属の吉本興業は、カウスの申し出を受け特別顧問職の退任を受理したものの、暴力団との交際はないとして活動制限はしていない。だが、NHK側はカウスの出演に「NO」の判断を下した。

 NHKが放送を延期したのは今日28日と、5月5日の放送分で今月9日に収録していた。中田カウス・ボタンが「マンションの内金」「和解のやり直し」というテーマで掛け合いをする内容。延期期間は未定で、別の漫才師らが出演する収録済みの番組を前倒しして放送する。

 カウスについては、週刊誌が暴力団との交際を背景に所属の吉本興業の経営に影響を及ぼしているなどと報道。同局は「週刊誌の報道が続く中で、諸般の事情をNHKとして総合的に判断した」とコメントした。

 騒動が本格化したのは、3月末に吉本の創業者一族、林マサさんが週刊誌にカウスと暴力団幹部との交際を告発したことだった。その後、カウスは別の週刊誌で、幹部との面識を認めた上で、経営への口出しはしていないなどと反論した。

 同局は、この事実関係を問い合わせたが、吉本興業からは「書かれているような暴力団との交際はない」との回答を受けたという。しかし、同局は「番組そのものが法律を扱う番組でもあり、前長崎市長の銃撃事件など、暴力団が関与した事件が相次ぐ中で(カウスの)週刊誌報道に対して、NHK側の判断で延期を決めた」と説明した。

 カウス・ボタンは同番組の準レギュラーで、今後の出演は未定。カウスはレギュラー予定だった関西ローカルの新番組への出演も見合わせ、現在は、なんばグランド花月などの舞台を中心に活動している。

 カウスといえば、結成30余年でも衰えぬ話芸と、楽屋ばなしをネタにしない確固たる芸風を貫き、タレント仲間からも一目置かれる存在。社外でも、ビートたけしら大物が心酔している。仲間のトラブル時には、人脈の広いカウスが解決へ尽力したケースも多い。実績からも貢献度は高く、吉本は現在、カウスへの処分は考えていない。しかし、NHKが独自で“締め出し”の判断を下した形となり、吉本も今後、何らかの対応を迫られそうだ。

http://www.asahi.com/culture/nikkan/NIK200704280002.html