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2007年04月26日(木) 15時04分

<「後見人」詐欺>逮捕の元行政書士、HPで「命」説く毎日新聞

 訪問リフォームで知り合った女性(94)から約2000万円をだまし取ったとして警視庁に逮捕された元行政書士でリフォーム会社社長の山本成男容疑者(46)は、交通事故で長男を亡くした経験から命の大切さを説いていた。病気や事故で亡くなった子供たちを主役にしたホームページ(HP)を開設するなど「心優しい父親」として知られていた。
 97年4月、長男(当時9歳)が、自宅近くで車にはねられ死亡した。車を運転していたのは暴力団組員。当初の検察の処分は不起訴。山本容疑者は「真相を明らかにしたい」と検察審査会に申し立て、不起訴不当の議決を得た。再捜査でも不起訴となったが、子供を思う親の心が暴力団相手に立ち向かわせた。
 「彼の存在が人々の記憶から薄れていくような気がしてふびんでならなかった」と00年2月、長男に関するホームページを開設。同じように事故や病気で子供を亡くした親たちとの交流が始まり、共同でHP「大切な人へ」を03年6月に始めた。04年4月には長男との思いをつづった「ずっと、いっしょだよ」を出版した。
 しかし、山本容疑者が元暴力団組員の神林正一容疑者(46)の勧めで、今回事件の舞台となるリフォーム会社「青嵐環境開発」の社長に就任したのは、出版よりも11カ月前。ちょうどHP「大切な人へ」を開設したころだ。【山田泰蔵】
 ◇山本容疑者一問一答
 毎日新聞は昨年8月と9月の2回、山本成男容疑者に取材した。一問一答は次の通り。
 ——女性(94)のアパートの売買に関係したのか?
 女性に会う前だから知らない。
 ——青嵐環境開発に出資させた理由は
 私は非常勤の代表取締役。詳しくは分からない。
 ——なぜ社長になったのか
 神林(容疑者)と昔からの友人だから。東京で事業を興したいと誘われた。
 ◇新宿の女性にも財産狙い近づく…逮捕の元組員ら
 山本成男容疑者(46)は、新宿区の認知症の女性(86)に対しても、逮捕容疑となった杉並区の女性(94)と同様に、リフォームで近づき、任意後見契約を交わすなどして財産を奪おうとしていた。
 関係者の話などによると、神林正一容疑者(46)とみられる男が新宿区の女性と知り合ったのは、02年秋ごろ。リフォームでの訪問をきっかけに、病院の送り迎えなども引き受け、信頼を勝ち取るようになる。
 女性の元に不動産ファンドから配当の支払いができない旨の通知が来ているのを発見した男は「詳しい人」として山本容疑者を紹介。山本容疑者が任意後見契約を女性と交わすのは、それから数カ月たった05年9月。翌々日には女性の自宅を売却しようとしたことに親族が気づき、トラブルになった。自宅売却の手付金440万円は女性の元に戻っていないという。【大迫麻記子、山田泰蔵】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070426-00000062-mai-soci