記事登録
2007年04月26日(木) 21時11分

<厚生年金>給付水準が85歳で4割に低下 厚労省試算毎日新聞

 厚生労働省は26日、2055年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数に相当)を最も実現性が高いとみる中位推計で1.26とした新人口推計に基づく厚生年金受給額の試算(専業主婦の基礎年金を含む世帯額)を公表した。41年度生まれの人は、受給を始めた06年度には給付水準(現役の平均手取り額に対する年金額の割合)が59.7%で年金月額は22.7万円だったが、次第に低下。85歳となる26年には41.3%、20.7万円まで下がる。
 政府は04年の年金改革で「給付水準50%」を約束した。ただ、あくまで受給開始時の話。従来、物価に応じてアップしてきた年金額の伸びを、04年改革では物価上昇率を下回るようにした。この「マクロ経済スライド」が給付水準の低下に拍車をかける。
 51年度生まれの人でみると、受給開始時の16年度には給付水準が54.4%で年金額は23.6万円あるものの、85歳となる36年度には41.3%で23.9万円。20年で3000円増に過ぎず、現役の平均手取りが43.3万円から58万円にアップする点を勘案すると、実質価値は相当下がるというのが実態だ。
 試算は中位推計を前提としたものだが、55年の合計特殊出生率が1.06まで下がるとみる低位推計では、さらに厳しい。66年度以降生まれは受給開始時点で既に給付水準が49.4%で50%を割り込み、66年度生まれの受給開始時の給付額は中位推計より1.2万円減の26.6万円となる。【吉田啓志】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070426-00000147-mai-pol