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2007年04月25日(水) 15時11分

<水門談合>疑惑の内部調査実施を要請せず 国交省毎日新聞

 国土交通省発注の水門設備工事を巡る官製談合事件で、05年に「OBが談合に関与している」との情報を得ながら事実上放置していた同省が、疑惑の中核とされた社団法人「日本建設機械化協会」(東京都港区)に対し、内部調査の実施を一度も要請していなかったことが分かった。同省の安富正文事務次官は先月の会見で「(疑惑の有無について)法人を通じて事実関係を確認した」と、同省が主体的に調査したかのような発言をしたが、実際には調査に全く関与していなかったことになる。【国交省官製談合取材班】
 同協会は、官製談合を主導した近藤治久・元課長補佐(58)の天下り先で、04年4月に同省を退職した後も、協会の電話を使うなどして業界側に談合を指示していたとされる。
 複数の協会幹部によると、同省側は05年、協会幹部に対し「元課長補佐ら4人の名前が出ている」と言いながら、談合疑惑を指摘する投書を示した。ところが、内部調査の実施やその結果の報告など、一切の指導を行わなかった。
 その後、協会の小野和日児(かずひこ)会長は、自主的に元課長補佐から事情聴取。「何か(身に)覚えがあるか」と質問すると、当時協会の調査部長だった元課長補佐は「覚えがありません」と否定した。協会幹部はその後、別件で同省に出向いた際、元課長補佐が関与を否定した事実を伝えたという。
 一連の経緯について、同省の安富正文事務次官は3月19日の会見で「公益法人を監督する立場という観点から、法人を通じて本人(元課長補佐)に事実関係を確認した」と述べた。しかし、協会幹部は毎日新聞の取材に対し「報告を求められたわけではない。(元課長補佐が関与を否定したことを同省に伝えたのも)報告ではないと思っている。用事があった時に、ぶらっと寄っただけ」と証言。安富次官の発言は、実際は協会が自主的に行った調査を、同省が主体的に実施したかのように誇張したことになる。
 談合情報の放置問題は毎日新聞が3月18日、元課長補佐らが談合に関与しているとの投書が寄せられ、系統だった調査はしなかったとする内容の局長経験者の証言を報じて発覚したが、同省は否定している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070425-00000049-mai-soci