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2007年04月24日(火) 08時58分

長崎市 伊藤一長前市長銃撃から1週間…なお残る謎毎日新聞

 長崎市の伊藤一長前市長が射殺された事件は24日で発生から1週間になる。逮捕された指定暴力団山口組系水心会幹部、城尾(しろお)哲弥容疑者(59)は関係業者が市の融資を受けられず経営破たんしたことなどで「市に不満があった」と動機をほのめかしている。しかし「なぜ市長を狙ったのか」については謎が残っており、長崎県警は動機の解明に全力を挙げる。
 城尾容疑者は23日、初めて接見した知人の弁護士に土下座し「亡くなった市長、市民、国民の皆さんにすまないことをした」と謝罪したという。
 また「現場には歩いて行った。一人でやった」と共犯の存在を否定。「(障害がある)3歳の息子の健康が気になっている」とも話した。
 一方、経営に行き詰まった親しい解体工事業者に数年前、8000万円を出資していたことを明かした。業者は市の「中小企業連鎖倒産防止資金」の融資を受けられず、その後経営破たんした。弁護士は「出資金を回収しようとしたがうまくいかず、不満がたまり、トップの市長を狙ったのかも」と分析したが「経済的困窮と市長銃撃がつながる明確な理由は語っていない」と述べた。
 解体業者の融資問題では、伊藤前市長あての質問状が05年ごろから数回市役所に寄せられていた。市によると、02年度に業者から融資の要望があったが要件を満たさないため不支給になった。質問状は業者の知人名義で提出されており、不支給に抗議する内容だったが「内容に事実誤認もあった」として市長には報告されなかったという。
 03年の市道工事現場での物損事故の補償を巡り市とトラブルを起こした城尾容疑者。市によると、面会の強要や電話は41回に及んだ。市は長崎署に相談し、不当要求行為等対策委員会で「対応しない」と決め、05年1月に本人に通告。その後、事故の件で市との接触は途絶えたという。2年以上の空白に、松本紘明副市長は「こんなに時間がたってから市長を襲うなんて」と当惑する。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070424-00000005-maip-soci