記事登録
2007年04月22日(日) 06時05分

海賊版DVD工場摘発 著作権違反容疑でブラジル人逮捕朝日新聞

 違法にコピーした映画のDVDを販売目的で所持したとして愛知県警は21日までに、いずれも長野県伊那市伊那に住むブラジル国籍のイザワ・エルビオ・ユキシゲ(38)とアルベス・バルテル・テレス(36)の両容疑者を著作権法違反(頒布目的所持)の疑いで現行犯逮捕した。両容疑者は事務所に機器を備えて「工場」にし、全国の在日ブラジル人向けに米国映画やブラジルのテレビ番組を複製したDVDを量産していたとされる。

 両容疑者は、在日ブラジル人を主な顧客とするビデオ店や雑貨店などで広く出回っている違法DVDを、各地に流していた元締めと県警は見ており、実態解明を進める。

 国際捜査課と江南署の調べでは、両容疑者は20日、伊那市伊那部の事務所で、著作権を持つ米国の映画会社の許可なく複製した映画のDVDを所持した疑い。

 県警は1月、イザワ容疑者らから買った映画のDVDを複写し販売したとして、愛知県大府市のビデオ店経営の男らブラジル人5人を逮捕、流通状況を調べてきた。

 その結果、イザワ容疑者らは、在日ブラジル人向け雑誌に広告を載せるなどして注文を受け、各地のビデオ店などに複製DVDを1枚600円で販売していたことが分かった。

 各店はそのDVDからさらに複製を繰り返し、客に販売する仕組み。両容疑者が店に出向き、複製方法を指南することもあったという。両容疑者の銀行口座には、関東地方や関西地方などのビデオ店などとの取引を示す入金記録があった。

 大府市のビデオ店の場合、イザワ容疑者らに毎月、DVD100枚分に相当する6万円を支払っていた。この店は05年8月以降、1週間あたり約4000枚を複製し、1枚100〜300円で販売。計二十数万枚、約3000万円を売り上げたという。県警はこの店から、違法コピーDVD8万6000枚を押収した。日本国際映画著作権協会(東京)によると、一度の押収量としては過去最多という。

 この店を通じて入手した違法コピーDVDを扱っていた名古屋市港区の雑貨店を経営する日系ブラジル人女性(56)は「以前は正規品を貸し出していたが、持ち逃げする人が多いため、違法と知りながらコピーを売っていた」と話した。

http://www.asahi.com/national/update/0422/NGY200704210008.html