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2007年04月20日(金) 00時00分

演 歌読売新聞

 文部科学省の検定で合格した、高校の来年度の音楽教科書に、演歌が初めて登場することになりました。これまで、演歌のテーマには恋愛が多く、教科書には適さないと考えられていたのが、伝統芸能を再評価する動きの中で採用となったようです。

 「演歌」は、enka ballad。バラードは物語詩的な歌曲です。Enkaだけでもわかる外国人も少なくありませんが、演歌を全く知らない人には、a traditional‐style Japanese popular ballad with melancholic lyrics and melody in many cases(日本の伝統的な流行歌で、哀愁あふれる歌詞とメロディーを持つものが多い)などと説明すればいいでしょう。

 演歌は、balladというより、enka blues(ブルース)という方がしっくり感じられるという外国人もいました。ブルースは、アメリカ黒人に歌われた哀愁を帯びた歌で、後にジャズに取り入れられました。

 ある教科書は、演歌界の大スター・北島三郎さんの代表作「まつり」を取り上げ、北島さんのメッセージも載せています。デイリー・ヨミウリによるメッセージの翻訳を紹介します。“Every part of Japanese life, from smells and colors to sentiments, is condensed in enka.”(演歌には生活の匂(にお)いや生活の色、人の情けなど、日本人としての生きざますべてが凝縮されている)

 北島さんは、「演歌は日本の心。若い人たちが人生の応援歌にしてくれたらうれしい」(Enka represents the heart of Japan. I hope young people sing enka as music that encourages them in life)と話しているそうです。

 演歌は、こぶしを利かせて歌いたいものです。「こぶし」(音の高さを細かく上下に震わせる技巧)はvibrato。「こぶしを利かせて歌う」は、sing using vibratoと言います。歌い方の技巧というより、気持ちの表現方法と考えれば、sing effectively by showing emotion(感情を効果的に表現しながら歌う)と説明してもいいでしょう。

 授業をきっかけに、演歌がより幅広く親しまれるようになればいいと思います。

(早乙女 泰子 記者)

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