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2007年04月20日(金) 17時10分

電力不正問題 経産省、4社を行政処分 臨界事故隠しなど毎日新聞

 電力12社の不正問題で経済産業省は20日、臨界事故隠しのあった北陸電力、東京電力と、原発検査で機器の故障を隠すなどした中国電力、日本原電の4社の7発電所に、原子炉等規制法に基づく発電所の保安規定変更を求める行政処分を発表した。安全確保に対する経営責任者の関与を強める規定の新設を命じ、7発電所9基の原発に、定期検査期間の数週間延長などの特別な検査も実施する。原子力、火力、水力を合わせると、行政処分は11社に達した。
 不正は各分野で316事案、合計で計1万件を超えた。同省は各電力の報告に基づき不正を四つに分類。最も重大な「原子炉等規制法などに抵触し安全が損なわれたか、そのおそれがある」ものとして、北陸電力志賀(しか)原発の臨界事故の隠ぺいなど原子力11事案、火力18事案、水力21事案を挙げた。
 同法違反には、原子炉設置許可取り消しなどの処分が考えられ、東京電力福島第1原発の不正操作(02年)では1年間の運転停止処分が科された。しかし同省は「運転停止などは現在、安全が損なわれている場合に適用する」と説明。今回の報告は過去の問題で法的に適用対象外との立場をとった。「今後の安全確保と再発防止が重要」とし、運転停止などは見送り、原子炉設置者が原発の安全運転のため守るべき事項を定める保安規定の変更命令にとどめた。
 このほか▽法に抵触したが、安全が損なわれなかったか損なわれるおそれがない104事案▽法のうち電力の安定供給に関する観点に抵触し、コンプライアンスで問題があった149事案▽その他13事案と分類した。
 水力、火力発電では10社に、データの適正な記録と保存などを発電所の保安規定に盛り込むことなどを求めた。このうち東京電力小武川第3発電所と北陸電力市ノ瀬発電所に対し、発電用ダムの安全確保に問題があるとして、運転を停止してダムを改修するよう電気事業法に基づき命令する。
 同省原子力安全・保安院の広瀬研吉院長は「必要な対応はとった」と話し、法改正などは考えていないとの見解を示した。【高木昭午】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070420-00000017-maip-soci