記事登録
2007年04月20日(金) 03時09分

<しのぎ>上部団体組長に使用者責任、賠償命令 京都地裁毎日新聞

 交通事故の補償交渉を手伝った名目で、暴力団に保険金など1160万円を脅し取られたとして、京都府の女性(31)がこの暴力団の上部団体の組長を相手取り1620万円の支払いを求めた訴訟の判決が19日、京都地裁であった。中村隆次裁判長は「使用者責任に基づく賠償責任がある」と認定し、1265万円の支払いを命じた。上部団体の使用者責任は、抗争の巻き添えで第三者を死亡させた事件で認めた最高裁判決(04年確定)があるが、身体危害のない資金獲得活動(しのぎ)では初という。
 判決では、女性は01年に事故に遭った。03年、補償の交渉を手伝うと名乗り出た知人の男に組事務所に連れて行かれ、その後「ヤクザに動いてもらってタダで済ますつもりか」などと脅され、計1160万円を取られた。女性が男や組長らを相手取った損害賠償訴訟で、同地裁は1280万円の支払いを命じたが、実際に支払われたのは10万円で、昨年12月に上部団体の組長を提訴していた。
 竹下義樹・原告弁護団長は「民事介入暴力は泣き寝入りなどで訴訟自体が少なく、先例となった」と評価。日弁連の金子正志・民事介入暴力対策委員長は「暴力団の経済活動にも使用者責任の適用拡大を目指している中で画期的な判決だ」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070420-00000017-mai-soci