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2007年04月19日(木) 17時31分

緑資源機構談合 20億円分不正入札…告発視野に 公取委毎日新聞

 独立行政法人・緑資源機構が発注する林道整備などの調査・設計業務を巡り、森林業務担当理事(59)らが官製談合を繰り返していた疑いが強まり、公正取引委員会は19日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で川崎市幸区の機構本部などを一斉に家宅捜索した。立ち入り検査(06年10月)直前まで談合を続けていた事実が新たに判明。公取委は04年4月〜06年10月の計約300件、約20億円分を不正入札とみて、東京地検特捜部への告発を視野に押収資料の分析を進める模様だ。
 捜索(強制調査)対象は発注者の機構本部のほか、受注した「森公弘済会」(東京都千代田区)、「林業土木コンサルタンツ」(文京区)などの農林水産省所管の公益法人、「片平エンジニアリング」(同)など民間のコンサルタント会社など約10カ所に及んだ。
 関係者によると、機構の出先機関である八つの地方建設部の林道課長は、受注実績などを基に業務を割り当てる「配分案」を作成。機構本部の課長補佐や課長がこれらを集約し、理事の承認を経て最終決定していた。
 官製談合は予定価格100万円以上の指名競争入札を対象に10年前に始まり、立ち入り検査直前の昨年10月まで繰り返された。公取委はこのうち04年度以降の約300件(約20億円)の立件を視野に調査を進めている。
 毎日新聞が情報公開請求で入手した入札調書によると、配分対象となったのは、林道建設予定地の地質調査や測量・設計、林道に架設する橋の調査、ワシやタカなど猛きん類の生息調査など。
 公取委の強制調査は、改正独禁法(06年1月施行)で導入された手続きで今回が3例目。組織ぐるみの悪質性に加え、大手ゼネコンが談合決別を申し合わせた05年末以降も談合を続け、過去に同法違反で排除勧告を受けた業者が含まれていることなどから、排除措置など行政処分では不十分な「刑事告発相当事案」との見方を強めている。
 ▽緑資源機構 旧森林開発公団と旧農用地整備公団を統合した緑資源公団が03年10月、独立行政法人化して発足した。約6670億円の資本金の全額を国が出資しているため、官製談合防止法の適用対象法人。林道や農業用道路の開設・改良、水源林の造成などを行う。職員数は728人(07年3月末)。うち11人は林野庁OBで、64人は農林水産省など省庁からの出向者。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070419-00000014-maip-soci