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2007年04月18日(水) 00時00分

ダイナミックパッケージで海外旅行市場に切り込む読売新聞

 航空券とホテルの予約を自由に組み合わせて購入できる海外旅行商品「ダイナミックパッケージ」を、日本で初めて手掛けたネット専業旅行会社「グローバルトラベルオンライン」(GTO)の後藤淳一副社長に、戦略を聞いた。

自己手配とツアーのいいとこ取り

後藤 淳一  ごとう・じゅんいち
GTO副社長兼COO
 1966年東京都生まれ。89年慶應大学理工学部卒、住友商事入社。鉄鋼部門で鉄鋼資材の輸出取引に携わる。2000年から同部門のベンチャー事業の電子商取引を担当し、05年、住友商事の社内ベンチャーとしてGTO(http://gtonline.jp/)を設立した。
—— 「ダイナミックパッケージ」とはどのような旅行商品なのでしょうか。

後藤 航空券とホテルを組み合わせて、簡単に予約できるパッケージ旅行です。ダイナミックとは「動的」という意味です。航空券やホテルの料金は刻々と変化しています。供給側はなるべく利益を確保しようとするため、閑散期には安くしてでも席や部屋をうめようとします。需要と供給のバランスを見ながら料金を変動させているのです。

 ダイナミックパッケージには(1)交通手段やホテルに複数の選択肢がある(2)即時に料金を把握できる(3)システムで自動的に予約できる——などの条件があります。これらを満たすには、インターネットでの取引が前提となるのです。

—— いつごろからこのような商品の取引が始まったのですか。

後藤 欧米では1997年ごろから、インターネットで旅行商品が取引されるようになりました。当初は航空券なら航空券、ホテルならホテルと、単独でしか購入できないサイトばかりでした。2001年ごろから米国の「エクスペディア」などが、この2つを組み合わせて価格を比較しながら購入できる、ダイナミックパッケージの販売を始めました。

 日本ではGTOが最初です。05年11月までに第一種旅行業の登録をしてサイトを開設しました。私自身は商社で鉄鋼部門の電子商取引などを担当し、インターネットを使ったベンチャービジネスに興味を持っていました。さまざまなビジネスモデルを検討した結果、事業性が高いダイナミックパッケージにたどり着きました。

—— 取り扱いを海外旅行に限定しているのはなぜですか。

後藤 日本の国内旅行には当面参入できないと思っています。米国は国内旅行でも飛行機の利用が多い。航空会社の選択肢が多く、それぞれ自社の予約システムを旅行会社に公開しているので、価格を比較するサイトは簡単に作れます。

 日本の場合、交通機関が寡占状態で、予約システムも公開していない。会社が持っている予約・販売サイトで、いちいち会員にならないと購入できません。この状況を我々のような小さな会社が打破するのは難しい。

 しかし、海外旅行なら1つの路線に複数の航空会社が就航していて、予約システムも公開されている。さらに航空会社間の競争が激しいので、価格も安くなりやすい。ダイナミックパッケージを提供することで、海外旅行をさらに楽しんでもらえると思っています。

—— ダイナミックパッケージの利点はどこにあるのでしょうか。

後藤 個人で手配するよりも予約が簡単で安く購入でき、パッケージツアーよりも自由に行動することができます。双方の“いいとこ取り”が可能です。

 基本的には「募集型企画旅行」なので、旅行会社が旅程管理などの義務を負います。飛行機が欠航になって、ホテルの延泊が必要になったときに、旅行会社がパッケージツアーと同じように別の便や部屋を手配するお手つだいをしなければなりません。この点は案外知られていません。

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20070418nt0d.htm