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2007年04月18日(水) 08時00分

盗難車の保険金支払い 保険会社に立証責任 最高裁初判断産経新聞

 自動車盗難保険金の支払いをめぐり、盗難事実の立証責任を保険会社と保険金請求者のどちらが負うかが争われた訴訟の上告審判決が17日、最高裁第3小法廷であった。上田豊三裁判長は「自動車の盗難が保険金請求者の意思で発生したことは、保険会社が免責事由として立証すべき事項」と述べ、保険金の支払いを拒む場合の立証責任は保険会社側にあるとの初判断を示した。その上で、保険会社側勝訴の2審・福岡高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。

 車両保険に関し、最高裁は昨年、水没事故に遭った車と、車体に傷がつけられた車について、いずれも保険会社側に車の損傷原因が故意であることを立証する責任があると判示。さらに、この日の判決で盗難についての判断も新たに加わり、車両保険の実務に大きな影響を与えることになりそうだ。

 判決理由で上田裁判長は「保険金請求者は『第三者が自動車を持ち去った』という外形的事実を立証すれば足り、自動車の持ち去りが保険金請求者の意思に基づかないものであることを立証すべき責任を負わない」と判示した。

 1審・福岡地裁と2審判決などによると、福岡市博多区の男性は平成12年11月に乗用車を購入。13年11月、あいおい損害保険と自動車保険を締結。14年10月に乗用車が盗難被害に遭ったとして保険金の支払いを求めたが、拒絶されたため提訴していた。乗用車が第三者によって持ち去られる状況が防犯ビデオで撮影されていた。

 保険会社側は、車の持ち去りが男性の意思に基づくものであるという免責事由を主張しており、差し戻し後はこの点を中心に審理が行われる。

 最高裁は他の保険についてこれまで、火災保険では保険会社側に、傷害保険では保険金請求者側にそれぞれ立証責任があると判示している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070418-00000020-san-soci