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2007年04月17日(火) 12時09分

「故意」立証、保険会社に 自動車盗難保険で最高裁決定朝日新聞

 自動車が盗まれたとして盗難保険金の請求をした福岡市の男性が、支払いを拒んだ「あいおい損害保険」(東京)に450万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決が17日、あった。最高裁第三小法廷(上田豊三裁判長)は、持ち主側が立証すべきことは「第三者に車が持ち去られたという外形的事実のみ」との基準を初めて示した。保険会社側は「わざと盗ませた」ことを立証しなければ、保険金支払いを拒むことはできなくなる。

 第三小法廷は、今回のケースでは、防犯ビデオに男性以外の何者かが車を持ち去る様子が映っていることから、「第三者が車を持ち去った」と判断。「男性が犯人と共謀していた疑念を払拭(ふっしょく)できない」として男性を逆転敗訴させた二審・福岡高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。

 最高裁はこれまで、「故意かどうか」について保険会社側に立証責任があるとの判断を、火災保険や衝突などによる車両保険の場合で示してきた。今回の盗難保険の場合は、この基本線を維持しながら、「第三者に持ち去られた」という外形的事実の立証責任は持ち主側に課した。現物と保険金を「二重取り」するような保険金請求詐欺に一定の歯止めをかける姿勢を示したといえる。

 判決によると、男性は02年10月、マンション内の駐車場からトヨタ・セルシオを何者かに持ち去られ、保険金を請求した。しかし、保険会社側は、車には、電子通信チップが組み込まれた鍵でないとエンジンがかからないイモビライザーが搭載されていた、などの点から「盗難を偽装した」として支払いを拒んだ。

http://www.asahi.com/national/update/0417/TKY200704170146.html