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2007年04月16日(月) 11時24分

パチスロで「体感器使用」は窃盗罪 最高裁が初判断朝日新聞

 最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は、服の中に隠し持った「体感器」と呼ばれる電子機器を使ってパチスロのメダルを取り窃盗罪に問われた男性の上告審で、体感器の使用は窃盗罪にあたるとの初判断を示した。体感器は、パチスロ機そのものを不正操作するわけではないため使用者の罪の意識が薄いとされ、5年ほど前から全国に広まっている。

 体感器についてはパチンコ店から被害の申告が相次いでおり、各地の警察が窃盗容疑での摘発を進めている。最高裁の初判断は捜査を後押しすることになりそうだ。

 この判断を示した同小法廷の13日付の決定によると、パチスロ機は、内蔵する電子回路が乱数周期によって抽選し、大当たりを出す。体感器は、この乱数周期と同期するよう一定のリズムを刻んで信号を発信する。使用者はそのリズムに従ってパチスロ機のボタンを押せば大当たりの絵柄がそろうという。

 同小法廷は「体感器がパチスロ機に直接影響を与えなくとも、身体に装着してパチスロをすること自体、通常の方法を逸脱する」と指摘。「メダルが体感器の操作の結果で得られたものか否かを問わず、店側の意思に反してその占有を侵害した」と述べ、体感器をつけて遊技中に得たメダルについて、すべて窃盗罪が成立すると結論づけた。

 この判断により、札幌市のパチンコ店で05年9月、体感器を利用し、メダル約1500枚(約3万円相当)を得たとして窃盗などの罪に問われた東京都内の無職男性(28)の上告を棄却した。一、二審の懲役1年6カ月執行猶予3年が確定する。

http://www.asahi.com/national/update/0416/TKY200704160103.html