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2007年04月16日(月) 13時45分

被災者支援法、改正へ年内めど提言 住宅再建適用カギ朝日新聞

 能登半島地震による建物全壊は550棟を超え、15日三重県中部で起きた地震でも被害が出た。能登半島地震の被災地には阪神大震災をきっかけにできた被災者生活再建支援法が適用される見通しだが、支援できるのは住宅の解体・撤去費用に限られ、住まいの再建費用は対象外だ。被災者や自治体から不満の声が上がる中、同法改正論議が3月に始まった。被災地の声がどう反映されるのかが注目される。

 98年にできた同法は04年3月に改正。物品購入や医療にあてる「生活関連費」に加え、壊れた家屋の解体費などの「居住安定支援」が認められ、支給上限も300万円に引き上げられた。

 しかし、住宅本体への支援はできず、年収や年齢制限があることへの不満が被災地から出たため、「4年後をめどに総合的な検討を加える」との付帯決議がついた。

 内閣府は今年3月に検討会(座長・伊藤滋早稲田大学特命教授)を発足させた。年内をめどに提言をまとめる。

 すでに行われた非公開の会合では「住まいには公共性がある。被災した住宅を再建しないと都市も再生しない」「被害を受けたら支援するセーフティーネットは必要」など、支援強化を求める意見が出た。

 一方で「今後起きるであろういくつかの巨大災害に対して、国がどれだけの資源を投入できるのか」「耐震補強や地震保険、災害保険にある程度の強制化を行うことを議論すべきだ」といった意見もある。支援枠の拡大だけでは住宅の耐震化が進まないとの建前だ。

 全国知事会の調べでは、04年4月〜昨年末までの自然災害で、居住安定支援の対象は約8000件あったが、実際に申請があったのは54%にとどまっていた。同知事会は「支給対象となる経費が限定されていることも問題だ」としている。

 検討会は今後、新潟県中越地震や04年の台風23号などの被災自治体の首長や法曹関係者らから意見を聞く。高齢者が多い中山間地の住宅再建をどうとらえていくのかといった点も議論になりそうだ。伊藤座長は「高齢者の問題は過疎地だけでなく、都心も抱える課題。お金をいくら出すかだけではなく、何が有効なのかを考えないといけない」と話している。

http://www.asahi.com/politics/update/0416/TKY200704160129.html