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2007年04月15日(日) 03時08分

<地方議員>年金等の減額避ける前倒し辞職、九州で続々判明毎日新聞

 地方議員が年金・退職金の減額を避けるため任期満了前に前倒しして辞職する問題で、任期満了前に市議を退職した56人(県議選出馬のための失職など含む)のうち、新たに福岡や熊本など4県の7市議会で少なくとも計14人が同様に辞職したことが毎日新聞の調べで分かった。既に判明している福岡県筑後市の4人、同県中間市の1人を加えると計19人になり、地方議員のあり方、姿勢が問われている。
 新たに判明した14人の内訳は▽福岡県嘉麻市3人▽同県朝倉市1人▽大分県別府市3人▽熊本県人吉市1人▽同県荒尾市1人▽佐賀県鹿島市3人▽同県多久市2人——で、いずれも年金・退職金の減額を逃れるための前倒し辞職を認めた。
 地方議員が退職した場合、全国市議会議員共済会から、3期以上の議員には議員年金、2期以下の議員には退職金が支払われる。今月1日施行された改正地方公務員等共済組合法で、同日以降に退職した議員の年金や退職金の給付水準が原則12・5%引き下げられた。このため、法施行前の3月までに“駆け込み辞職”したらしい。
 各市の議員報酬によって年金額は異なる。例えば嘉麻市の場合、13人が前倒し辞職しており、年金額で年8万2800〜12万3495円の減額を免れる。辞職した1人は「年金を減らしたくない、という気持ちはあった」と話している。
 別府市で前倒し辞職した6人は同17万6400〜24万6960円の減額を免れることになるが、うち1人は「(年金額を減らさないため前倒しで辞めることは)おかしいとは思っていない。法を犯したり、制度に違反しているわけではない」と主張。
 また、辞職した元鹿島市議は「議員は生活に保障がなく、私にも生活がかかっている。財産も貯金もない。批判はあえて受ける。辞職を正当化するつもりはない。みんなやっていることだ」と開き直った。
 また、市議会によっては議会事務局が法改正をについて「早く辞める手もありますよ」などと説明していたケースもあった。
 一方、有権者たちは年金・退職金減額を逃れるための“前倒し辞職”への憤りを募らせている。佐賀県多久市多久町、パート、船津敬子さん(48)は「全員が年金のためではないとは思うが、市民の信任を得て選ばれた人たちだから、ちゃんと4年の任期を満了してほしかった」。嘉麻市の男性(36)は「自分のことを中心に考えている気がして、許せない」と話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070415-00000010-mai-pol