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2007年04月15日(日) 03時03分

<日本証券業協会>上場廃止株の市場創設へ 投資家に配慮毎日新聞

 日本証券業協会は14日、東京証券取引所やジャスダック市場などで上場廃止になった株式を売買する市場を創設する方針を明らかにした。カネボウやライブドアなどが不祥事で上場廃止に追い込まれた際、個人投資家が保有する多数の株券が市場で取引できなくなったことに批判が高まり、投資家保護のための受け皿が求められていた。日証協は証券会社や取引所の実務者らによる作業部会を近く設けて検討を始める。
 東証やジャスダックの場合、上場廃止が決まった企業の株式は「整理ポスト」に移され、原則として1カ月間売買した後に上場廃止になる。しかし、整理ポストに入った株式は大幅に値下がりしたり、売買が成立しなくなることもあるため、売る機会を逸する株主も多い。上場廃止後も売買はできるが、証券会社に仲介してもらうか自分で取引相手を探さなければならず、現実には売買しにくい。上場廃止前の個人株主(有価証券報告書ベース)は、カネボウが約5万人、ライブドアは約22万人と多く、株式を売れなくなった個人投資家が不満を募らせた。
 上場廃止後も取引できる市場があれば、上場廃止になった企業の買収狙いや、再上場時の値上がりを期待する投資家の購入が見込まれる。新たに創設する市場は日証協が運営し、売買は証券会社が売値と買値を提示して、投資家の注文を成立させる手法を軸に議論が進む見通し。法改正などは必要ないとみられるが、企業情報の開示や価格提示の手法、上場廃止になった企業をどのような基準で選別するか——などが課題に浮上しそうだ。
 日証協は、04年12月にジャスダックが取引所として発足するまで、取引所を通さずに株式を売買できる「店頭市場」を運営していた。同市場では上場廃止株を店頭管理銘柄に指定し、原則として半年間、売買を認める制度があったが、店頭市場の廃止に伴い店頭管理銘柄もなくなった。また、97年には非上場企業の株式を売買する「グリーンシート」と呼ばれる制度をスタートさせ、現在84銘柄が取引されている。日証協はこうした制度も参考に、具体案を詰める。【瀬尾忠義】
 【ことば】上場廃止 「上場」は取引所で株式を公開すること。株式の発行状況や財務状態などで一定の基準を満たす企業の株式だけが上場を認められる。上場企業が取引所の上場廃止基準に該当する可能性がある場合、その企業の株式は一定期間「監理ポスト」に移され、取引所が上場廃止の是非を検討。廃止が決まれば「整理ポスト」を経て最終的に上場廃止となる。監理ポストや整理ポストの株式は通常通り売買できるが、上場廃止後は取引所を通じた売買ができなくなる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070415-00000004-mai-bus_all