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2007年04月13日(金) 12時03分

耐震偽装:三条で発覚 市、偽装見抜けず 住民から相次ぎ不安の声 /新潟毎日新聞

 「田村水落設計」(富山市)が構造計算した三条市の分譲マンション2棟で新たに耐震強度の偽装が発覚した問題。同市は11日夜の住民説明会で建築主のアパグループに補強工事を求める方針を示し、アパ側も謝罪の上、自主的な工事を約束したが、住民からは安全性や風評被害に不安の声が上がっている。建築確認で偽装を見抜けなかった市のチェック体制も改めて問われそうだ。
 同市によると、同設計の水落光男・元1級建築士が偽装したとされるのは両マンションの一部の耐震壁の強度。構造計算プログラムでは、強度のランクが最低の「WD」と計算されていたが、手動で最高の「WA」に入力し直し、耐震強度を基準の1より上の1・04にしていた。だが、同市の再計算では2棟とも0・85だった。
 同市は建築確認の際、プログラムに入力する最初の数値と最後の計算結果を中心にチェックしていた。同市建築住宅課の担当者は「最初の数値を入れれば、後は自動的に計算される仕組みで、プログラムの途中を手動で書き換えるとは想定外だった」と釈明した。
 ただ、これまでの市側の調査では、水落元建築士が偽装した理由は明らかになっていない。水落元建築士は「偽装ではない」という立場を崩しておらず、会見した国定勇人市長は「建築コストを減らすことにつながったとは考えにくい。設計をやり直す時間を省きたかったのかもしれないが、真相は分からない」と話すにとどまった。
 一方、市が開いた住民説明会では、「誰が補強工事を行うのか」といった不安の声が相次いだという。アパ側は基本的には補強工事の費用を負担する方針だが、細かい内容については「住民と協議してから」としている。2棟のうち、建設中の1棟については補強工事で安全性を確保した上で改めて販売するという。市側は建築住宅課に相談窓口を設置し、住民の不安に対応する方針を明らかにした。【前谷宏】

4月13日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070413-00000095-mailo-l15