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2007年04月13日(金) 21時40分

生保12社、不払い246億円 特約中心に10万件確定 朝日新聞

 生命保険38社は13日、01〜05年度の保険金の不払いについて初の本格的な調査結果を金融庁に報告した。記者会見して結果を内容を公表した大手・中堅12社の合計では、確定した不払い件数は特約を中心に約10万6000件、保険金総額で約247億円に達した。不払いの恐れがある契約110万件に請求を呼びかけており、各社の不払い件数と金額は今後、大幅に増える見通しだ。

 保険金とは別に、失効した契約を解約した際に支払う一時金「失効返戻金」などの支払い漏れも12社合計で約12万件、約20億円判明した。

 不払いの恐れのあるものも含めた全体でみると、医療保険の本契約に付随する「通院特約」がらみの不払い事例が突出して多かった。入院時の給付金以外に、退院後の通院でも給付金がもらえる特約で主に起きており、不払いの恐れがある契約が12社で約85万件に達した。

 1件あたりの不払い額では、がん、脳卒中、心筋梗塞(こうそく)の場合、入院給付金とは別に一時金などが出る「三大疾病特約」が大きい。13日の段階で調査結果がまとまった10社分の合計で約4000件、110億円にのぼる。

 入院給付金を請求する際に、保険会社に出した診断書に「がん」と病名が書いてあるにもかかわらず、請求がないため特約分を支払わないケースなどが多かった。1人あたり不払い額は300万円前後が多いが、2000万円という例もあった。

 不払いの原因を各社は、事務的なミスに加え、生保側から請求を案内すべきだったのに放置していたことを挙げた。事務作業ミスでは、入院日数の入力を間違えたり、診断書の手術を書く欄でなく経過欄に書いてあったため、入力を忘れたなどのケースが多かった。

 各生保は、不払いになっている恐れのある契約者に請求を促す案内文書を郵送する作業を始めているほか、電話や営業職員の訪問なども予定している。問い合わせ窓口も設ける。請求があれば必要な診断書などの提出を受けて、支払額を確定する。不払い額が固まるのは9月末の見通し。

 再発防止策として各社は、保障内容がわかるような案内を契約者に渡す制度や、診断書の内容から請求できる内容を契約者に案内するシステムなどを取り入れる。 一方、金融庁は今後、生保各社の報告内容を精査し、行政処分を検討する方針だ。

http://www.asahi.com/business/update/0413/TKY200704130357.html