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2007年04月12日(木) 08時00分

志賀原発事故 「即発臨界」の可能性、0.3秒間で収束産経新聞

 北陸電力志賀原発1号機(石川県)で平成11年に起きた臨界事故で、原子炉の出力が急激に上昇する「即発臨界」という暴走状態が一時的に起きていた可能性のあることが、電力関係者らでつくる日本原子力技術協会(東京)の解析で11日、分かった。

 元北海道大教授(原子力安全工学)の石川迪夫同協会理事長は「暴走状態が起きたとしても極めて短時間で、重大事故につながる恐れはほとんどなかった」としている。

 北陸電力のデータを基に、3本の制御棒が引き抜けた際の炉心の核分裂反応を推定。制御棒の引き抜け速度などについて最悪のケースを想定し、解析を行った。

 その結果、臨界状態が始まってから約6秒後に即発臨界が発生し、ピーク時には定格出力の約14%にまで出力が急上昇。即発臨界は約0・3秒間で収束し、その後は同0・3%程度のわずかな出力で臨界が15分間続いたとみられる。

 即発臨界は、核分裂と同時に出る「即発型」の中性子だけで分裂が連鎖的に続く現象。通常の原子炉では、やや遅れて出る「遅発型」の中性子を含む反応で臨界が起き、制御可能な状態で出力が緩やかに上昇する。志賀原発事故の約3カ月後に発生した茨城県東海村のJCO臨界事故でも、即発臨界が起きた。

 石川理事長は「JCO事故では、即発臨界が何度も繰り返して暴走状態が続いたが、志賀原発では起きても1回だけ。原子炉は燃料の温度が上がると核分裂が抑制される自己制御効果があるためで、燃料が損傷した形跡もない」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070412-00000013-san-soci