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2007年04月12日(木) 00時00分

MySpace、Photobucketのコンテンツも禁止に--ユーザーからは不満の声読売新聞

 ソーシャルネットワーキングサイト大手のMySpace.comは米国時間4月11日、Photobucketのビデオや写真スライドショーをMySpaceにアップロードすることを禁止した。

 MySpaceはこのたび、ユーザーが自身のプロフィールやブログ、コメントの欄にPhotobucketのコンテンツを公開することを禁止する措置をとった。MySpaceは、PhotobucketがMySpaceの利用条件に違反して、ユーザーに広告入りのビデオを掲載するよう促したと主張する(Photobucketが公開間近の「スパイダーマン3」の広告を挿入するように促したことが問題視されているという)。MySpaceは、第三者のベンダーに対し、MySpaceサイトに広告を掲載することを禁じている。

 MySpaceは声明で、「Photobucketと、このたびの行為について話し合ってきたが、コミュニティーの利用条件に従うことを拒絶された。そのため、Photobucketを禁止することが唯一の選択肢となり、今回の措置に至った」と述べた。

 この決定は、Microsoftが「Windows」からサードパーティー製アプリケーションを排除したときのことを彷彿とさせる。多くの企業が現在、ウェブサイトに写真や音楽、ビデオなどのコンテンツを公開するためのウィジェットを提供しており、また多くの企業が、MySpaceの抱える9000万人のユーザーを対象としたビジネスを構築している。

 Photobucketは最大のオンライン写真共有サイトで、毎月1700万人以上のユーザーが利用している。同社は先ごろ、ビデオの分野にも進出を果たしている。MySpaceがPhotobucketのユーザーを疎外するリスクをいとわないとなれば、業界の多くは次が誰かという疑問を抱くことになる。

 The New York Timesは先月の報道で、Rupert Murdoch氏率いるNews Corp.に2005年7月に買収されたMySpaceが、ユーザーとのビジネスを希望する企業に課す制限を徐々に増やしてきたと指摘している。また、3月のCNET News.comの記事では、PhotobucketがMySpceに依存したビジネスを展開しているため、今回のような禁止措置がとられれば、大きな痛手になるとの意見を業界の観測筋が示していた。

 一方のPhotobucketは自社サイトで声明を発表し、怒りを表わにしている。同社は判断を覆すようMySpaceに求めるようユーザーに呼びかけている。

 「MySpaceは、個人と社会のためのメディアという信念そのものを否定している。自由を厳しく制限するこのたびに措置によって、MySpaceがユーザーを消耗品と見なしていることが明らかになった。具体的な行動を取ってMySpaceに、自分の思いを伝えて欲しい」とPhotobucketは述べている。

 PhotobucketはMySpaceの言い分に対しても異論を唱えている。Photobucketの最高経営責任者(CEO)Alex Welch氏によると、MySpaceがPhotobucketにスライドショーやビデオを禁じることを警告したことは一度もなかったという。

 Welch氏はさらに、Photobucketの幹部らには、ただ手をこまねきながら、事態の進展を見守るつもりはないと述べる。MySpaceがPhotobucketの成長を促したことも事実かもしれないが、同写真サイトは、今では30万以上のウェブサイトに写真やビデオを提供するまでになっている。

 Welch氏は、「これでビジネスが大きな影響を受けるとは思っていない。MySpaceにリンクしている登録ユーザーは、全体の約25〜30%に過ぎない」と語っている。

 Photobucketが問題となっている素材の削除を検討しているかどうかについて、Welch氏はコメントを控えている。同氏は、MySpaceから話を聞いていないので、スパイダーマンの広告を削除すれば禁止が解除されるのかは、分からないという。

 MySpaceの事情に詳しい複数の情報筋は、Photobucketが展開しているスパイダーマン3の広告キャンペーンが問題になっていることを指摘している。このキャンペーンは、Photobucketの会員に対し、公開間近であるスパイダーマンのクリップを使ってオリジナルのスライドショーを作成するように呼びかけるもの。MySpaceによると、これは、会員がMySpaceの許可なく企業を広告することを禁じたサービス利用契約に違反するという。

 一方、スパイダーマン3のプロモーションにはMySpaceも参加している。MySpace上で公開されているスパイダーマン3のページでは同作品のサウンドトラックのサンプルが公開され、本稿執筆時点では2500人が友人として登録されている。

 もっとも、情報筋によると、MySpaceは自社が同じブンランドと広告契約を結んでいるか否かに関わらず、外部からの広告を禁止しているという。また、MySpaceは問題のあるコンテンツについてケースバイケースで対処していると、複数の情報筋は述べる。

 Photobucketのサイトには、大量のユーザーがMySpaceの判断を批判するコメントを書き込んでいる(編集部注:一部不適切な言葉が含まれています。あらかじめご了承ください)。Melissaと名乗る人物の書き込みには、「くだらない。MySpaceが自分の動画を使わせたいからだと思う。あきれる」とある。

 Alex Elhageという人物が寄せたコメントには、「MySpaceが写真でも同じ行動に出たら、自分はFacebookに戻るつもりだ。MySpaceは、ページのカスタマイズ性以外に良いところがない」とある。

 MySpaceによってコンテンツをブロックされたのは、Photobucketが初めてではない。MySpaceは2006年にも、同様の理由でビデオ共有サイトRevverのコンテンツを排除している。Revverはビデオクリップの広告収入を映像制作者と分け合う手法をとっており、ビデオクリップには自動的に広告が挿入される仕組みになっている。Revverのマーケティング・コンテンツ担当バイスプレジデントAngela Gyetvan氏によると、同社はMySpaceと交渉し、MySpaceに組み込まれたRevverの映像から得られる広告収入の一部を分配することも試みたという。

 Gyetvan氏は取材で、「(収入を分配する)話を持ちかけた。われわれのシステムは、そういう発想に基づいて構築されているからだ」と述べた。しかし、MySpaceは提案を断り、Revverのコンテンツを排除する方針を変えなかった。「彼らのビジネスなので運営方法を決めるのは彼らだ。しかし、現在は、コミュニティーから不満が噴出しているようだ」とGyetvan氏は語っている。

 Gyetvan氏は、RevverのユーザーがMySpaceの決定に「かなりの不満を抱いた」ことを認めたうえで、それでも、同社は多くの企業と提携をしているため、自社はこの一件による大きな影響を被ることはなかったと述べる。「われわれは、大小さまざまな規模のメディアとの提携を進めている。シンジケート配信するコンテンツから得られる収入を分配するモデルが受け入れられているからだ」(Gyetvan氏)

 動画を共有できるSNSのStickamがMySpaceにコンテンツを排除されたときは、Stickamの経営陣はRevverほど寛大な態度を示さなかった。

 Stickamのマーケティング&オペレーション担当バイスプレジデントScott Flacks氏は、「MySpaceは、自分たちのサイトを利用して成長しようとする小規模なアドオンベンダーを否定することで、自分たちの力を誇示しようとしている」と述べ、「どうやって排除対象を選択しているのか、興味深い」と加えた。

 Flacks氏は、MySpaceがビデオ共有サイトの最大手YouTubeを一度は排除しながら、その直後に判断を取り消したことにも言及した。

 「(MySpaceが)他社の利用にうるさいこと、そしてこれらの多数の企業とコミュニケーションを取らないことにがっかりしている」とFlacks氏は述べている。

 アカウントを無料で利用する個人ユーザーに大きく依存したビジネスを行うPhotobucketにとって、今回の問題による影響は、大きいだろう。

 MySpaceがサードパーティーサイトのコンテンツを排除する理由はほかにもあった。ビデオやオーディオファイルを共有するコミュニティを構築するSNSのImeemでも、人気のMySpace用ウィジェットが締め出された。しかし、MySpaceに近い情報筋によると、理由は広告ではなく、Imeemのウィジェットに著作権で保護されたコンテンツがあったためだという。(CNET Japan)

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http://www.yomiuri.co.jp/net/cnet/20070412nt13.htm