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2007年04月09日(月) 00時27分

<都知事選>逆風の中での圧勝に「石原節」はじける毎日新聞

 「一部メディアの執ようなバッシングがあったが、都民の良識がこういう結果をもたらしてくれた」
 午後8時半すぎ、お気に入りの金ボタンのダブルのスーツ姿で、JR新橋駅(港区)近くの選挙事務所に姿を見せた石原さん。開口一番、「ほっとした」と語ったが、逆風の中での圧勝に選挙中見せていた謙虚な言動とは一転、いつもの「石原節」がはじけた。
 会見で「何が都民に支持されたか」と聞かれると、「その前に、執ようなバッシングで誤解が拡大された」と切り出し、「自民党と公明党が支援してくれた。民主党も前はそうだったけど、今回はどこかに行っちゃった」と皮肉った。
 さらに、環境対策など過去2期8年の実績を意気揚々と披露し、95年の阪神大震災について「首長の判断が遅くて2000人が死んだ」と発言。さらに都の防災訓練に自衛隊や在日米軍の参加を実現させたことを自画自賛し、「来年は航空母艦を持って来いと言ってやった」と胸を張った。
 また、テレビのインタビューでは、2期目に始めた都の花粉症対策事業を例に、「国が花粉症のために何をやりましたか。花粉情報をだしているが、情報を流すだけだったらバカでもできる。何もしていない」と国に対しても気炎を吐いた。思わず「石原節復活ですね」と言ったアナウンサーに、「私は謙虚は謙虚。反省すべきは反省する。国にも反省してもらいたい」と声を荒らげた。
 「高額」と指摘された海外出張、都文化事業への四男の関与など、2期目終盤に露呈した問題で逆風の選挙戦を強いられた石原さん。選挙前は強い危機感を持っていた。
 「『たとえ100票差でいいから勝ちたい』。あの誇り高い男が、(前回知事選挙で)300万票取った男がそう言って頼むんだ。40年のつきあいだが、あんな慎太郎を見たのは初めてだった」。元内閣安全保障室長、佐々淳行さん(76)は選対本部長を引き受けた1カ月前のことを振り返る。
 家族や側近で固めた従来の選挙手法を改め、臨んだ今回の選挙。「当選請負人」と異名を持つ選挙プランナーの男性(56)を「軍師」に招いたのも危機感の表れだった。
 ふたを開けてみれば圧勝。事務所に駆け付けた長男で自民党都連会長の伸晃氏が「最後の親孝行ができた」と語ったように、これが最後の選挙という。関係者によると、石原さんは都知事選の当選で万歳をしたことはなかったが、今回は促されて初めて万歳に加わった。事務所で妻典子さん(69)と長男、三男のそれぞれの夫人と4人並んでマスコミの写真撮影に応じる場面もあった。【合田月美、川辺康広】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070409-00000005-mai-soci