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2007年04月09日(月) 08時00分

アイピーモバイル 携帯参入を断念 資金調達できず産経新聞

 携帯電話事業への参入を目指していた通信ベンチャーのアイピーモバイル(東京都千代田区)が、資金調達難から事業化を断念したことが8日わかった。総務省に割り当てられた携帯用周波数は返上する。同社は週内に正式発表する方針。

 アイピーモバイルは、インターネット関連のコンサルティング会社「マルチメディア総合研究所」が中心となって平成14年11月に設立した。携帯電話事業で先行するNTTドコモやKDDIに対抗するため、音声通話ではなくパソコンやPDA(携帯情報端末)向けの高速データ通信を定額制で提供する戦略を表明。他社と異なる新通信方式「TDD」を採用するなど、独自性を打ち出して参入を目指した。

 17年11月には、ソフトバンクと、ADSL事業者のイー・アクセスとともに総務省から携帯事業の免許交付を受け、2・0ギガヘルツ帯の周波数を割り当てられた。

 当初は昨年10月のサービス開始を予定していたが、同年7月になって今年春への延期を発表。同時に既存株主から約40億円の追加増資を受けたものの、事業化に向けて必要な数百億円規模の資金調達は難航していた。

 総務省は携帯電話事業への周波数割り当てをめぐり、競争促進のため既存事業者よりも新規参入を重視して3社に免許を交付した経緯がある。しかし、昨年ボーダフォンを買収したソフトバンクも新規割り当て分を返上しており、予定通り参入したのは、先月末にサービスを開始したイー・アクセスの子会社イーモバイルだけとなった。

 同省は今後、返上分の再割り当てを検討する見通しで、NTTドコモやKDDIなどが獲得を目指すとみられる。

 携帯事業参入には、基地局を網の目のように張り巡らせるなど巨額の設備投資が必要。アイピーモバイルのようなベンチャー企業の資金調達力を不安視する声は当初からあった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070409-00000014-san-bus_all