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2007年04月08日(日) 11時02分

’07統一選:知事選 舌戦フィナーレ 主要5氏、最後の訴え /東京毎日新聞

 個性あふれる14人が主張を競い合った都知事選は7日、17日間の選挙戦のフィナーレを迎えた。主要5候補は都内各地を駆け巡り、駅前で、商店街で、街頭で、最後の訴えに声をからした。1000万有権者が審判を下す8日の投票は、午前7時から午後8時まで。早いところで午後8時半から開票が始まり、同日深夜には大勢が判明する見通し。主要5候補の最終日の訴えを紹介するとともに、戦いを終えた陣営幹部に手応えを聞いた。(届け出順)
 ◆暮らし優先に転換を−−吉田万三氏(59)=無新・共産推薦
 都政の私物化をやめ、税金の使い方を暮らし優先に切り替え、憲法を都政の基本にしようと、これまで訴えてきた。大型開発中心の政策にメスを入れなければ、借金が増え続けることは、はっきりしている。本気で都政を変えるには、この三つの転換が必要だ。テレビの論戦で言うことがコロコロ変わってきた候補もいる。本当に都政を変えられるのは、この吉田万三しかいないということがはっきりした。みんなが安心して楽しく暮らせる東京をつくるために全力でがんばる。
 ◇生活実感に応えた−−徳留道信・選挙事務長
 最初から、暮らしや福祉の問題を中心に訴えてきた。生活が苦しいという都民の実感に十分応えることができた。福祉重視の姿勢が、他候補の政策にもいい影響を与えた。暮らしの問題は実質的な第一党である無党派層にも共通であり、具体的な対策を打ち出してきた。庶民の代表にふさわしい親しみやすい人柄も、十分浸透させることができたと感じている。
 ◆10年後の東京を設計−−石原慎太郎氏(74)=無現
 都民に意識調査したところ、最大の念願は安心・安全な暮らしだった。何をやるにせよ財政が問題。私はひっ迫した財政を完全に復活させる一方、福祉政策から災害対策まで充実させ、ぼけ防止の新薬も開発に近づいている。五輪招致は、みんなで一緒に感動を共有したいから。付随して道路が整備されれば、環境改善にもなる。出張費が高いと批判されたが、独自外交で秋には横田基地から民間機が発着する。私には10年後の東京の設計図がある。その基礎固めをやらせてほしい。
 ◇支持の輪広がった−−兵藤茂・選対事務長
 昨秋以降の集中的な批判を謙虚に受け止め、「説明不足でした」と反省する気持ちをきちんと表してきた。その一方で、2期8年の実績を踏まえた、石原ならではの確かな政策と東京の未来像を丁寧に説明してきた。石原に多少の不安を抱いていた人たちにも徐々に理解が深まったはず。終盤にきて一層、支持の輪が広がっていることに強い手応えを感じている。
 ◆「フルタイム」で働く−−浅野史郎氏(59)=無新
 社会的に弱い立場の人に真っ先に光を当て、政治に関心を持ってもらう。1円1円まで税金の使い道が分かるのが浅野都政。一方、石原都政は一晩に50万円の接待費を使う。しかも週に何回かしか登庁しない。震災が起きたらどうするのか。「パートタイム」で都民の命は守れない。私の宮城県知事時代は「フルタイム」に加え土日もなかった。これからの4年間、このまま我慢していいのか。これが一番の争点だ。五輪だけではない。みなさんの手で政治を変える大きなチャンスだ。
 ◇みな全力で戦えた−−白木福次郎・選対事務局長
 17日間走り回って、握手して、浅野を分かってもらおうと必死にやってきた。100円カンパで資金を募り、支援者の手書きポスターを選挙掲示板に張るなど勝手連を中心にした「浅野選挙」で、愚直に訴えた。マニフェストの評価は最も高かったと思う。中盤の都議補選告示を機に民主党などの全面応援を受け、すべての支援者が全力で戦う態勢が整えられた。
 ◆五輪予算、庶民に還元−−黒川紀章氏(73)=諸新
 石原さんがオリンピックのためにお金を使って逃げてしまう前に、私はそのお金を庶民の商店街、若い青年たちのために還元する。800カ所の商店街に保育所、産科・小児科のクリニックをつくり、町のお医者さんを置く。都心ばかり再開発するから格差ができている。首都機能の一部を移転して霞が関に賃貸マンションをつくる。医療と福祉と災害対策のために、皆さんが安心して住める東京に直す。都のお金を息子に出して公私混同している石原さんにだまされないでほしい。
 ◇段々軌道に乗った−−伏原靖二・選対事務局長
 選挙の素人集団として戸惑いながら運動を進めたが、段々と軌道に乗った。街頭や集会で演説を直接聞いた人には、東京一極集中ではなく、江戸の良さと文化を残して幸せな生活を実現するという主張が理解されてきた。終盤は地震対策のアピールにも力を入れ、本当に都民のためになる都政を訴え続けた。従来とは違う都市計画家の都知事を誕生させたい。
 ◆愛に満ちた東京発明−−ドクター・中松氏(78)=無新
 都知事の資格は、世界から注目され、しがらみがなく、「政治という発明」ができる人。そして勤勉でなくてはいけない。サラリーマンの経験もあり、ベンチャー企業代表として経営能力もある。肉体のオリンピックに代わって才能オリンピックを開き、お金を使わずに経済的メリットを生む。北朝鮮のミサイルや大地震から都民を守ることも都知事の重要な役目だ。発明の心は愛の心、と言ってきた。ぎすぎすした冷たい東京ではダメ。愛に満ちあふれた東京をつくれるのは私だけ。
 ◇充実した選挙戦−−花島行男・選対本部長代理
 最終的には、前回知事選の約10倍の反応があった。「一番大切なのは人物。次にマニフェスト」という訴えが浸透した。告示間際の立候補だったが、候補者の品格にひかれた約100人のボランティアに支えられ、充実した選挙戦を展開できた。若者や女性に加え、男性の高齢者にも支持を広げることができた。有権者からの多くのメールに励まされた。
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 ◇貴重な1票大切に−−小倉基・都選挙管理委員会委員長の話
 都民の生活や東京の将来にとって極めて重要な選挙。有権者は告示日以降、選挙公報や政見放送、街頭演説などで候補者の政策に接してこられたと思う。主権者としての意見を反映させられる大切な機会。貴重な1票を無駄にせず、ぜひとも投票されるよう強く希望する。

4月8日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070408-00000117-mailo-l13