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2007年04月08日(日) 08時00分

グーグル影響力無視できない AFP記事使用認める産経新聞

 【ロサンゼルス=松尾理也】インターネット検索最大手グーグルが提供する「グーグル・ニュース」に記事を使用されたのは著作権侵害にあたるとして、フランス通信(AFP)が損害賠償を求めていた訴訟で、AFPは6日、グーグルに記事使用を認めることで合意したと発表した。ニュースの流通構造を一変させる可能性をもったネットでのニュース配信をめぐり、既存メディアと新興インターネット勢力が対決した形となったこの訴訟は、もはや無視することが不可能になったネットの影響力を、既存メディア側が追認するかたちで終わった。

 発表によると、AFPは訴えを取り下げるとともに、自社ニュースの見出しや写真をグーグルに提供する。なんらかの対価がグーグルからAFPに支払われるかどうか、またはその額については明らかにされていない。

 「グーグル・ニュース」は、完全に自動化されたニュースサイトで、世界中のインターネットサイトから集められた記事の見出しや要約から構成されている。グーグルは、「見出しと要約を紹介し、元の記事にリンクを張るだけで記事の内容を転載したわけではなく、著作権侵害には当たらない」と主張してきた。

 これに対し、既存メディアからは「ただ乗り」との批判が出ていた。だが、ネット検索が生活の一部として浸透し、とりわけ「グーグルの検索にひっかからなければこの世に存在しないのも同然」とまでみなされるようになった現在、「グーグル・ニュース」から離脱するという選択肢は、メディアにとって極めて困難ともなってきていた。

 今回の結果は大筋で、増大する一方のネットの影響力に既存メディア側が妥協せざるを得ない現実を示したものといえる。しかし、合意内容の細部は明らかにされておらず、今後への影響は不明な部分が多い。たとえば、グーグルがAFPに支払う対価が十分に大きいものであれば、ネット側が既存メディアに譲歩したことにもなる。その場合、世界中のメディアが同様の取り扱いを求め、次々にグーグルを訴えるという事態も想定される。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、AFP側は「今後、グーグルはAFPの記事をまったく新しい形で利用することになるだろう」と発言しており、今後「グーグル・ニュース」に代わるまったく新しいサービスが、AFPなどを巻き込んだ形で登場する可能性も高まっている。

 AFPは2005年3月、グーグルに1750万ドル(約20億円)の支払いを求め提訴していた。グーグルは昨年8月、AP通信との間で争われていた同様の訴訟で、一定の対価を支払うことで和解に達していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070408-00000018-san-int