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2007年04月07日(土) 08時00分

18年度携帯・PHS市場 KDDI圧勝、変わる業界地図産経新聞

 電気通信事業者協会は6日、携帯電話・PHS各社の平成18年度(18年4月−19年3月)の契約数を発表した。飽和状態といわれる中で業界全体は引き続き5・4%の伸びを維持したが、KDDIが全純増数(新規契約数から解約を差し引いた数)の半数を獲得して他社を圧倒した。昨年10月に始まった番号ポータビリティー(番号継続)制度による激戦を制したためだ。一方、昨年10月から旧ボーダフォン事業を引き継いだソフトバンクも3月の純増数は前年比倍増。さらに、イー・モバイルが13年ぶりに新規参入するなど、業界地図に変化の兆しが現れている。(谷口正晃)

 ≪番号継続制で明暗≫

 昨年10月24日から始まった番号ポータビリティーの恩恵を一身に受けたのはKDDI。ドコモとソフトバンクは転出が転入を上回ったが、両社の減少分はそっくりKDDIの利用者となった。

 3月、4月は携帯業界にとって最大の春商戦。昨年3月は、ドコモとKDDIがほぼ拮抗(きっこう)していたが、今年は倍近い差がついた。番号ポータビリティーでドコモが11万の純減に対し、KDDIは15万弱の純増。「新規加入は変わりないが、番号ポータビリティー分がプラス」(KDDI)、「番号ポータビリティー分がなければ…」(ドコモ)と明暗を分けた。

 KDDIは昨年、番号ポータビリティーに備えて、例年なら9月末〜10月に発表する冬商戦用のモデルを8月末に前倒しで発表。ワンセグ搭載機種を業界最大の8機種投入するなど、万全の準備で臨んだ。

 一方のドコモは、例年通りの対応だったが、昨年11月には創業以来、初の純減となるなど波に乗れなかった。

 ≪業界地図に変化の兆し≫

 公正取引委員会が警告を出した「0円」広告で、出足ではつまずいたソフトバンク。だが、足元の利益にこだわっていた旧ボーダフォン時代と異なり、端末数を飛躍的に増やしたり、機動的な販売促進策を打てるようになった結果、新規契約数が拡大している。

 効果的だったのは1月16日に始めた月額基本料980円の「ホワイトプラン」。大学生のサークルや中小企業などが“2台目”に契約するケースが多く、2カ月半で300万契約を突破。番号ポータビリティーでKDDIに契約者を奪われたのはドコモと同じだが、旧ボーダフォンと比べものにならない勢いがある。

 また、データ通信に軸足を置いたウィルコムは着実に加入者を増やし、452万契約とPHS市場を完全復活させた。さらに、3月末からはイー・モバイルが創業を開始するなど、新たなライバルも増えている。

 ドコモが過半数を占める構図に変わりはないが、そのシェアは徐々に切り崩されつつある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070407-00000022-san-bus_all