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2007年04月07日(土) 03時03分

<都知事選>政見放送、ネットで増殖 都選管が削除を要請毎日新聞

 8日に投開票が迫った東京都知事選。その一部候補者の政見放送がインターネットの動画サイトに投稿され物議を醸している。テレビとラジオでは制限のある政見放送が自由に見られるためだ。公職選挙法が想定していない事態に、都選管は「公平性の観点から好ましくない」としてサイトの管理会社への削除要請を続けている。「ネット時代」で増殖する政見放送。新たな課題に国や都は困惑する。
 投稿は複数のサイトで行われている。特に、ある候補者の政見放送が過激な発言やパフォーマンスで話題を呼び、集中的に投稿されている。
 米国の動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」にはこの候補者の動画だけで数十件ある。アニメの音楽を組み合わせたものや、視聴回数が15万回を超えたものも。過去の知事選の候補者の政見放送も存在する。
 公選法は政見放送の回数、日時を規定。またネットを使った選挙運動も禁じている。ところが動画サイトでは自由に見られるため、都選管は「公選法の趣旨に反する」とする一方、法律が想定していない事態のため「選挙活動にあたるかどうか判断は難しい」とも。投稿者が特定できれば撤去命令などの措置が可能だが、ほとんどが匿名。このためサイト管理会社への削除要請となった。
 しかし、それも一筋縄ではいかない。ユーチューブは国内窓口はなく、米国の会社との直接交渉が必要だ。選管担当者は「数多くある削除対象の特定に加え、英文で依頼をしなければ……」と戸惑う。国内最大級の動画サイト「アメーバビジョン」を運営するサイバーエージェント(東京都渋谷区)は要請を受け、6日までに削除し、「投稿しないでください」と呼びかけている。
 この問題で、菅義偉総務相は6日、「早急に対応できる仕組みを検討していきたい」と述べ、規制策を検討していく考えを示した。総務省は「ネット上に政見放送の映像を掲載することは公選法違反のおそれがある」としている。【岩佐淳士】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070407-00000023-mai-pol