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2007年04月04日(水) 10時04分

動物実験はOKだけど 花粉症緩和米、商品化はお預け朝日新聞

 遺伝子組み換え技術によって、スギ花粉症の緩和につながる「花粉症緩和米」の開発を進めている農業生物資源研究所(茨城県つくば市)は3日、サルとマウスを使った動物実験では、食べさせても異常は認められなかったと発表した。ただ、厚生労働省からの指摘で、「医薬品」として厳密な動物実験や治験をすることになり、商品化は早くて6年後の13年以降になるという。

 花粉症緩和米は、スギ花粉に含まれるたんぱく質の断片を人工的につくるようにした米。食べて少しずつ取り込むことで体が慣れ、症状が和らぐと期待されている。

 実験では、マウスにはエサに混ぜて13週間食べさせ、カニクイザルには緩いおかゆ状にした液を26週間飲ませて、通常のエサのマウスやサルと比べた。その結果、体重の増え具合や臓器に異常は見られなかった。血液中にスギ花粉に対する抗体はつくられておらず、緩和米が逆にアレルギーの原因になることがないことも確かめたという。

 同研究所は05年、緩和米をマウスに食べさせると花粉症を抑える効果があることを東京大医科学研究所、島根大との共同研究で確認。「食品」として10年にも商品化しようと考え、今年には人に食べさせる実験を予定していた。しかし、今年1月、厚労省から「医薬品にあたる」などの指摘を受けて方針変更。再出発を決めたという。

http://www.asahi.com/life/update/0404/TKY200704030346.html