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2007年04月04日(水) 01時47分

孫請け社員「面白くしようと」 関テレ捏造検証番組朝日新聞

 関西テレビは、3日夜の検証番組「私たちは何を間違えたのか 検証・発掘!あるある大事典」の中で、「納豆ダイエット」の回を中心に、データ捏造(ねつぞう)の原因や背景について独自に検証したという内容を放送した。外部調査委員会が報告書で指摘していた、制作会社に番組づくりを丸投げする構造的な問題についてはほとんど触れられず、再発防止策も調査委からの提言を紹介するにとどまった。新生関西テレビの具体像は、まだ見えてこない。

 検証番組は、関西テレビの福井澄郎取締役の統括のもと、報道や制作、編成各局の社員約25人の班が制作した。フジテレビ系の27局を通じて午後10時からCMなしで全国に放送された。

 冒頭、千草宗一郎社長がVTRで登場し、「気づく機会があったのに視聴者の信頼を裏切ったことは痛恨の極み」などと謝罪した。

 続いて、1月7日放送の「納豆ダイエット」の回を検証。捏造した理由を担当した孫請け制作会社のディレクターは「面白く、分かりやすい魅力的な番組にしようとした」と繰り返し、「僕の人間性なのか、モラルの低さか、そういう環境なのか。なぜ間違えたかは、難しい」と語った。

 一方で、関テレのプロデューサーは「外国人研究者のコメントが実際と違っているとはだれも思っていなかった」などと話すにとどまった。

 下請け、孫請けの構造的問題についても、関テレの制作局長が「チェック体制、モラルの問題などを共有できていなかった」とした程度。報告書が詳しく書いた制作費の削減などについてはほとんど触れずじまいで、再発防止に向けて制作会社との関係を再構築する具体的な策は示さなかった。

 番組にかかわった関テレ社員の反省の言葉、調査委員会の委員や科学者の「人気番組というおごりがあった」などといった批判、視聴者から寄せられた1万6346通の意見から「(経営陣の)処分が甘すぎる」「説明責任が果たされているのか」などという内容が次々と紹介された。社員アンケートの「視聴率だけが社内評価になっている」などの声も流した。

 しかし、具体的な対応策は最後まで欠いたまま、番組は「生まれ変わった気持ちで、確かな番組をつくっていきたい」という言葉で締めくくられた。

http://www.asahi.com/national/update/0404/OSK200704030136.html