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2007年04月02日(月) 15時22分

WSJ-EMI、コピー防止ソフトなしで楽曲を販売へ=事情筋ダウ・ジョーンズ

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)英EMIグループ(EMI.LN)は2日、同社が所有する膨大な楽曲をコピー防止ソフトを付けずに販売する計画を発表する。これにより同社は、著作権侵害防止に向けて音楽業界が長年取ってきた戦略と一線を画すことになる。事情に詳しい筋が明らかにした。

EMIはロンドンで記者会見を開き、この計画について発表する予定。記者会見には、アップル(Nasdaq:AAPL)のスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)がゲストとして出席する見込み。EMIは、著作権管理(DRM)ソフトを付けずに、楽曲をアップルのオンライン音楽ストア「iTunes(アイチューンズ)」やそのほかのオンライン音楽店舗を通じて販売する計画。

オンライン音楽販売において、DRMは論議を呼ぶ問題となっている。レコード会社は、海賊版の横行を防ぐためにデジタル音楽の小売業者はDRMを採用すべきだと主張している。ところが、アップルが使用しているDRMは独自の技術で競合他社のサービスや機器との互換性がないため、携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」の利用者は流行曲を他社ではなく「iTunes」から購入せざるを得ない、という結果を生んでいる。

レコード会社は、アップルのDRMの非互換性が、全米の楽曲販売の約15%を占めるデジタル音楽の拡大を阻んでいると批判している。

今回のEMIの計画は、ここ数カ月の水面下での交渉の末、発表される運びとなった。また、ジョブズ氏を含むインターネットやハイテク業界幹部からは、音楽業界に対してオンライン販売における著作権アプローチを変えるよう促す発言が相次いでいた。ジョブズ氏は2月、1800語からなるエッセーをアップルのウェブサイト上で公表。その中で同氏は、大手レコード会社に対し、楽曲のオンライン販売はDRMソフト付きであるべきとの主張を取り下げるよう呼びかけた。

ジョブズ氏は、デジタル音楽の著作権侵害の解決にDRMソフトは総じて効果をもたらしてないと主張。現在市販の音楽の大半はコピー防止機能のないCDであり、ファイル共有技術を通じてネット上で共有できてしまう、と指摘している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070402-00000026-dwj-biz