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2007年04月02日(月) 06時05分

近未来通信社長の逮捕状請求、国際手配へ 投資詐欺事件朝日新聞

 IP電話事業者「近未来通信」(東京都中央区)をめぐる投資詐欺事件で、警視庁は、詐欺容疑で同社の石井優社長(50)の逮捕状を週内にも請求する方針を固めた。石井社長は海外に出国しているとされ、同庁は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配する方針。元役員数人についても立件を検討している。

 同社は最新の通信技術による格安の通話料をうたったIP電話事業を行う一方、通信設備の「サーバー」の設置費を投資家が負担することで毎月数十万円程度の配当があるとして勧誘。「中継局のオーナー募集」と銘打ち、約3000人から総額約400億円の投資を集めたとみられる。

 投資家の一部と代理店契約を結び「新たに投資家を開拓すると40万円以上の手数料を支払う」として被害を拡大させており、被害対策弁護団は「マルチ商法まがい」と指摘している。

 昨年9月以降、配当が滞ったことで問題が表面化。石井社長以外の全役員が辞任し、11月下旬に同社は本社や大阪、福岡など全国の支店、関連会社を突如閉鎖した。石井社長は出資者らと同月上旬ころまで連絡がとれていたが、同月中旬、羽田空港から海外へ出国したとみられている。

 捜査2課は昨年12月4日、同社の投資事業が実体のない虚業だった疑いが強まったとして、詐欺容疑で本社や支店、関連会社など約20カ所を家宅捜索。押収した関係資料の分析を続けてきた。

 その結果、投資家から集めた金の投資先とされるサーバーは、国内分だけで約1300台あったものの、稼働させるためのソフトウエアが組み込まれたものは1%程度の約20台しかなく、ほとんどは電話線さえつながっていなかったことがわかった。同課は、ほとんどの投資家のケースで虚偽の内容の金集めが行われたと判断。石井社長らの逮捕状請求に踏み切る方針を固めた。

http://www.asahi.com/national/update/0401/TKY200704010215.html