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2007年03月31日(土) 16時40分

警察犬「チャンプ」お手柄 認知症男性、小2姉妹を発見朝日新聞

 愛知県警の警察犬「チャンプ号」が、道に迷った認知症の高齢者と、小学2年の双子の姉妹を相次いで見つける功績をあげた。警察犬は日頃から行方不明者の捜索に出動しているが、発見して救助に至るのは極めて珍しいケースという。

お手柄の警察犬チャンプと担当の池田正寛巡査=愛知県東海市の県警警察犬訓練所で

 チャンプ号は7歳の雄のシェパード。人間に換算すると50歳ほどになるベテラン。担当の池田正寛巡査は「普段はおっとりしているが、現場に行くと集中する」と喜んでいる。

 同県豊川市に住む85歳の認知症の男性が自宅からいなくなったのは1月21日。同居の妻(79)が午後6時半ごろ気づき、豊川署に捜索願を出した。小雨交じりの日で、深夜になると6度前後まで冷え込んだ。署員や消防団員ら約60人が約4時間にわたって自宅周辺を捜したが見つからず、チャンプ号ともう1頭が呼ばれた。

 池田巡査らが手がかりにしたのは「夫はよく神社に行く」という妻の話だった。自宅北側に豊川稲荷があったため、北へ行ったとみて、車で移動しながら立ち寄りそうな神社を回った。

 チャンプが男性を見つけたのは日付が替わった22日午前2時10分ごろ。自宅から約5キロ離れた3カ所目の神社に着くと、それまでになく盛んに鼻をきかせながら境内を進み、暗がりに顔を向けたという。池田巡査が懐中電灯を照らした先に、土蔵の壁にもたれて座っていた男性がいた。

 一緒に捜索にあたった林口恭久警部補は「行方不明から長時間たってからの出動で、雨も降っており、自宅からにおいをたどるのは難しかった。誰もいない境内にいたので臭気が残り、反応できたのではないか」と話す。

 3月7日には、名古屋市港区に住む小学2年の双子の姉妹(8歳)の捜索に出動した。姉妹は午後3時ごろ、自宅から遊びに出たあと、道に迷った。チャンプは午後10時半ごろ捜索に加わり、同11時半ごろ、自宅から約2.5キロ離れた路上を歩いているところを、捜査員とともに見つけた。

 愛知県警の警察犬は昨年、108件の行方不明者捜索に出動したが、無事保護につなげた例はなかった。林口警部補は「訓練の成果が出たことを励みにしたい」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/0331/NGY200703310004.html