記事登録
2007年03月31日(土) 17時05分

ボリビア空港に客殺到 出稼ぎ先へ、4月からビザ必要朝日新聞

 南米の最貧国ボリビアの空港に、スペインへの旅行者が殺到している。4月1日からボリビア人の欧州連合(EU)各国への入国にビザが必要になるため、3月中に直行便のあるスペイン入りを目指したのだ。ところが、航空会社が輸送能力を上回る航空券を売ったため一部が運航中止になり、空港は混乱している。

 ロイター通信などによると、ボリビア東部の同国最大の都市サンタクルスなどの空港で計1500人の乗客が、ロイド・ボリビアーノ航空のマドリード便の運航中止に抗議している。多くが出稼ぎ目的とみられる。

 主婦のダリアさん(48)は地元紙「ラソン」に「やっと稼いだ1万1000ドルを家族6人分のチケット代に払った。どうしてくれるの」と怒りをぶちまけた。26日に出発するはずの便は延期に。運航再開を願って空港で寝泊まりしてきたが、結局中止されたという。

 マドリードのバラハス国際空港にも、家族を待つボリビア人が集まっている。同空港には、ブラジルなど周辺国を経由した人も含め、毎日1500人近くのボリビア人が到着しているという。

 スペインの1人あたりの国民総所得は約2万5000ドルで、ボリビアの約1000ドルの25倍。ビザの義務化は、移民規制のため欧州議会が決めた。

 ボリビア駐在のスペイン大使はロイター通信に対し、同国に暮らすボリビア人は不法滞在を含めて現在約30万人いる、と話した。2年前と比べると20倍近くにふくれあがったという。

 マドリードへの直行便ができたのが主な理由で、言葉が通じて高い収入が見込めるスペインが「欧州の扉」として、それまでの主な出稼ぎ先だったブラジルや米国に取って代わった。

http://www.asahi.com/international/update/0331/008.html