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2007年03月31日(土) 03時38分

北朝鮮産アサリを偽装輸入容疑、船長再逮捕へ 下関朝日新聞

 北朝鮮で積み込んだアサリを日本に輸入した疑いが強まったとして、下関海上保安署などは、中国船の船長(58)を外為法違反容疑(無承認輸入)の疑いで、31日に再逮捕する方針を固めた。偽装輸入の指示があったかなどについても捜査を進める。北朝鮮からの輸入は06年10月の経済制裁発動ですべて禁じられており、立件されれば食品の輸入では初の「制裁破り」の摘発となる。

 調べでは、中国船籍の「HAI XING3」の中国人船長は、今年2月下旬、北朝鮮・海州で積み込んだアサリ55トンを経済産業大臣の承認を受けずに、山口県・下関港に輸入した疑い。船長は積み込み港を「中国・丹東」と申告していた。

 輸出元は中国・遼寧省の企業、輸入元は山口県山陽小野田市の水産業者で、22日に水産業者を家宅捜索している。

 船は3月8日、山口・下関港に入港したが、直前に北朝鮮・海州などに寄っていたことを申告しなかった疑いで船長や船員12人が逮捕された。船員数人が「北朝鮮に寄り、アサリを積み込んだ」と供述したことから、「偽装輸入」の疑いが浮上した。

 06年10月、北朝鮮の核実験実施を受け、日本政府は、北朝鮮からの輸入や北朝鮮船籍の入港を全面禁止するなどの制裁を発動した。

 04年に外為法が改正され、日朝間の貿易や送金を政府が制限することが可能になった。特に北朝鮮からの全品目の輸入禁止は、北朝鮮の外貨獲得にダメージを与えるのが目的とされた。

 しかし、「偽装輸入」や第三国を経由した「迂回(うかい)輸入」など、制裁破りの懸念は当初から指摘されていた。下関海上保安署などでは、制裁発動以降も、北朝鮮からの偽装輸入を繰り返していたとみて調べている。

http://www.asahi.com/national/update/0331/TKY200703300391.html