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2007年03月31日(土) 00時00分

県議選告示 13区で64人舌戦朝日新聞

 統一地方選の前半戦となる県議選が30日、告示された。「平成の大合併」を経て初めての県議選で、区割り・定数は22選挙区の56から、19選挙区の50に変更された。このうち渋川市区、館林市区など計6選挙区で定数を超える届け出がなく、計8人の無投票当選が決まった。残り13選挙区は計64人が名乗りをあげ選挙戦となった。候補者たちは地域の未来像を、思い思いのスタイルで有権者にアピールした。

【知事派と自民激突 前橋・勢多】
 現職知事と自民党が反目する、県政史上初の構図となる知事選を3カ月後に控え、今回の県議選は“プレ知事選”の色彩も帯びる。

 小寺弘之知事の支援団体を束ねる「群馬県民の会」(会長・曽我孝之前橋商工会議所会頭)は、知事の政策や政治理念に共感すると表明した12人を推薦し、8選挙区で自民公認・推薦の候補者らと争う構図だ。

 特に前橋市・勢多郡区(定数8)は、候補者13人中「知事派」が5人、自民公認・推薦が6人と激戦が予想される。県民の会の推薦を得た無所属現職は出陣式で「安全で安心できる地域づくり」「弱者を守る」と知事と近い公約をアピール。

 一方、自民県連幹部の現職は「3人の首相を輩出した群馬の心意気で、明るい群馬を作る」と訴えた。出陣式には国会議員5人が駆けつけ、「非常に厳しい選挙だが、一緒に戦いたい」と口々に支持を求めた。

【存在感発揮に「懸命」 知事選予定者ら】
 この告示日、知事選の立候補予定者も県内を走り回り、存在感をアピールした。県議たちは知事選で有力な“実動部隊”となるためだ。

 5選を目指す小寺知事は、午前中に退職者の辞令交付など年度末の執務を終えると、自身の推薦団体を束ねる「群馬県民の会」が推薦した候補者を激励した。当初の日程にはなかったが、前日に「自然にそういう気持ちになってきた」と思い立っての行動だという。前橋や藤岡、富岡各市などの8陣営を分刻みで回った。今後残りの4陣営を訪問するという。

 自民党推薦を得た大沢正明県議会議長は、午前8時から館林市の2陣営訪問を皮切りに、無投票当選者を含む党公認・推薦の11陣営を激励。最激戦区となる前橋市区の県連幹部の出陣式で、「県政史上、このような厳しい戦いは例がない」と支援を訴えた。別の陣営の出陣式では、あいさつに立つと「知事選も頑張れー」と声がかかった。

県議選とは距離を置いたのが、元自民党県議の山本龍氏だった。この日は、昨年7月から毎朝続けてきた街頭演説を、9カ月ぶりに“自粛”し、高崎市内でスタッフと政策の勉強会をした。「県議選の9日間は運動を控えるのが、候補者への自分からのエールだ」と話している。

【混乱のまま民主系3人 太田市区】
 民主党県連は、会計問題から始まった混乱を収拾できぬまま告示を迎えた。定数5に8人が立候補した太田市区では、民主系候補3人が無所属で立った。このうち4選を目指す現職は、午後6時半から「事務所開き集会」。「4回目の選挙だが、最もきつい選挙だと自覚している。いろんな形でバッシングがあるが、みなさんと力を合わせてはねのけていく」と危機感をにじませながら訴えた。

 高崎市区では、民主が新顔を公認。連合群馬が推薦する別の新顔候補は同党にも推薦を求めたものの実現せず、無所属で立った。民主新顔は自ら届け出番号1番のくじをひきあて、「この日が来るのを待ち遠しく思ってきた。無駄な県政を改革するため、一刻も早く、私の手で成し遂げたい」と第一声を上げた。

【合併の旧町村「地域代表」価値訴え】
 平成の大合併で、33の町村が姿を消し、市に編入されたり新市を作ったりした。人口の多い高崎市や前橋市に編入された旧町村を地盤とする候補者は、地元への目配りと、旧市区への切り込みに頭を悩ませる。

 旧郡区から高崎市区に移った自民の中堅県議は、地元の町と旧市内に事務所を置き、出陣式も両地域で実施。旧町議の市議は「地元県議の火を消さないようにお願いします」と訴えた。陣営幹部は「地元で6千票、他で8千票が欲しい」と話す。

 合区の前橋市・勢多郡区でも、旧郡区が地盤の自民現職が危機感を強める。応援演説も「郡に現職の県議がいなくなったらゾッとする」「地域代表が残れるのか残れないか決まる大事な選挙」と、“地元総力の結集”を呼びかけた。

http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000000703310004